西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
夏水日記hanging gardens
> hanging gardens 11−7
冒頭色つき部分、多少書き換えました。
昨日、書きなぐってUPしたので、反省



 桜子に提示された可能性について、そうなのかな?でも心当たりは無いしと、焦りながら自問自答していると、桜子にジッと探るような目で見られてしまう。
「まさかとはおもうけれど優希君」
「え?はい?」
「あなた順也ちゃんに、『俺の全部は順也だけのものだよ、ハート、鷹也さんに触らせたりしないから安心してね、ハート』みたいな約束をしなかったかしら?」
 そして、いきなり椅子から立ち上がった桜子に伸ばした人差し指で額をググッと押されながらそう聞かれて、西原は首を仰け反らせながら思い切り愕然としてしまった。


 言った・・・確かに言った。
 ハートの部分には異論があるけれど、まさにそのまんま、襖の向こうで聞いていたんですかと、桜子を疑いたくなる位だ。
 本家に行く前の順也の部屋。
 着替えさせてくれるという順也に服を脱がされ体をペタペタと触られて、
「西原は全部俺のだろう?」
「そうだよ」 
「じゃあ、約束してくれよなっ」
「何を?」
「俺以外の誰にもこういう事をさせないって」
「俺は順也だけのモノだから、誰にも触らせないよ」
 そして、鷹也のいる本家に行く事に不安になっている順也と、はっきりそう約束をした。
 それからもう一度、家を出る直前にも、「さっきの約束覚えてるか?」と念を押されて、
「順也が以外の誰にも俺の身体には触らせません、約束します」
 重ねてそう約束をしたのだ。
 それなのに、あれだけ硬く約束したのに、その日の夜には、本家の道場で道着を脱いで裸になった自分に鷹也が纏わり付いているところを順也に見られてしまった。
 順也が『触るなっ』と言う位に腹を立てるのは当然だ。
 順也が懇願する様に繰り返していた約束。
 それを自分はすっかり失念して、順也の見ているその目の前で、ものの見事に破ってしまったのだ。

「しちゃったのかしら」
 多分顔色が見る見る変わったのだろう。
 目の前の桜子が、恐る恐ると言った表情で尋ねてくる。
「はい・・・しちゃいました」
 順也が怒っているその理由。
 桜子の指摘のおかげでそれをはっきりと自覚してしまい、その事の重大さに目の前が真っ暗になるのを感じた西原は、
「あの・・これ・・すみません」
 順也のオヤツの乗ったお盆を落とす前に、目の前の桜子に手渡してから、ヘナヘナとその場に座り込んだ。

 本家の道場で、あの騒々しい3人組の後詐欺師達は、順也が倒れた騒ぎに紛れて何処かへ消えてしまっていた。
「話は全部聞いていました、俺も騒ぎは起こしたくないですけれど、もし、またあなた方の姿を見かけたら、あなた方がベラベラ喋っていたボスのお得意様の名前を警察に全部喋ります、全部覚えています、俺は記憶力はいいんです、ですからお互いの為にもう二度とこの家には近づかないで下さい」
 思わぬタイミングで順也が姿を現したので、焦った西原がフランス語でそう言って追い払ったのだ。
 詐欺師達に穏便に帰って貰う為に、色々と我慢していたのは何の為だったのか?
 決して賢い行動とは思えないけれど、毛布でグルグルに巻かれて翔也に抱っこされている、順也の愛らしいけれど傷ついた姿を、人身売買を企むような犯罪者の目に長く触れるのが恐しかったので仕方なかった。
 でも、思ったよりも効果は絶大で、西原の言葉を聞いた3人は、「おトイレをお借りします」と言って何故か揃って出て行ったまま、二度と帰って来なかった。
 見送った家元秘書の田淵の話だと、呼んだタクシーでそのまま空港に向ってしまったらたらしい。
 誰も自分達の会話なんか分らないだろうと高を括って、かなり際どい内輪の話していたので、それを聞かれていたと知って驚いたのだろう。
 本当にこれで日本から出て行ってくれれば、本家の詐欺事件の事は、取りあえずは一件落着だった。
 鷹也は思っていた以上に鷹也の中毒症状が酷いので、まずは日本で治療を受けてから、落ち着いたら海外へと場所を移すらしい。
 昨日の内に、御家元と万理絵の両親に付き添われて、まず入院する地方の病院へと連れられて行った。
 三都葉の骨折りで警察沙汰にならないように入院させて貰える事になり、そちらも一先ず安心だ。
 鷹也と一緒になって覚醒剤を使っていたらしい鷹也の取り巻きの師範達の事や、実はやっぱり火の車で、今回の事でもっと苦しくなってしまった本家の経済事情の事とか、残った問題も沢山ある。
 だけれど、後はこう言っては何だけれど、西原がどうこう口を出す問題では無かった。
 西原自身の周囲でも、微妙にギクシャクしていた智也と桜子の仲も元に戻った様だし、元々、西原と桜子が本家に乗り込もうとした原因の、この家への出入り制限の話も何処かへ消えてしまった。
 気付けば、総てが良い方向に向っているようだったけれど・・・ただ一つ、順也の心だけが、大きく傷ついたままだった。



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2008.05.22(07:59)|hanging gardensコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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