「ああ・・・まだやってるんだな、呼んでくるからオマエはここで待ってろ、先輩、いいですか?」
「いいですよ、はい、こっちにおいで、順也君」
「んんっ!いいっ、俺も道場に行くぞ・・っ」
お手伝いさんのフミエさんが見送ってくれて、俺は毛布にグルグル巻きにされ、翔也兄さんに抱えて貰って、離れから母屋の道場の見える位置まで来た。
見える大きな道場の格子の嵌った窓からは、まだ明るい光が漏れていて、中には人の気配が感じられた。
俺と翔也兄さんと三都葉先生と桜子さん。
皆が立っているのはT字の廊下の曲がり角で、離れから渡って来て、右に行けば西原達の居る道場で、左に行けば家の車のある場所に行けるらしい。
翔也兄さんは「待ってろ」というけれど、俺は一刻も早く西原の無事な姿を確認したかった。
だから、三都葉先生に渡されてしまいそうになるのを、毛布から手を出し、翔也兄さんの首にしがみ付いて阻止をする。
「行くぅ・・行くぅっ・・絶対に行く・・ぅっ!」
「うわっ、こらっ!暴れるなっ」
「ふぁぁぁ・・・気持ち悪いぞ・・・」
「キャアァ!順也ちゃんっ、しっかり」
絶対に連れて行って欲しいので、翔也兄さんの首にギュゥ!としがみ付いてブンブンと首を振ったら、途端に頭がフラフラとして気分が悪くなった。
「はぁ、もう、また具合が悪くなる位なら皆で行きましょう、それでさっさと優希君を回収して出発しますよ、道場の入り口はこっちですよね」
でも、それで皆がびっくりして、俺もちゃんと道場に連れて行って貰える事になる。
「こんな格好の順也を道場なんかに連れていったら俺が怒られるんですけど・・・って誰も聞いてねぇよなぁ・・・」
「ははは、ちゃんと聞いてるよ、翔也」
「ホホホ、何もしてあげられないけれど」
「うううううう・・・」
西原に合ったら直ぐに西原に抱っこしてもらおう。
ボヤく翔也兄さんに道場へ渡る長めの廊下を運んで貰いながら、俺はそう思う。
翔也兄さんでもいいけれど、同じ抱き上げて貰うならやっぱり西原がいい。
こうして翔也兄さんに抱っこして貰っていても、鷹也さんの事を思い出すと、何処からとも無く湧き出てくる恐ろしさで全身が竦んでしまう。
だけれど西原に抱き締めて貰えたなら、きっと心の底から安心出来るだろう。
もう直ぐ、道場の入り口のドアだった。
そこを開ければ西原が居ると思うと俺は嬉しくて仕方なくなる。
俺を好きだと言ってくれる甘く優しい声。
愛おしそうに見詰めてくれる金色の宝石みたいな目。
総てから守る様に抱き締めてくれる力強い腕と身体。
『俺は順也だけのものよ』と西原が約束してくれたから、その全部が俺だけのもだった。
その西原に早く逢いたいと思い、俺は手の中の指輪をギュッと握り締める。
「失礼します、翔也です、入ります」
俺に「早く」とせがまれて、翔也兄さんが道場へのドアを開ける。
目の前に居るのは、並べられた椅子に座ったり、半分腰を浮かせたりしている、何だか落ち着かない感じの10人位の大人の人達だった。
真ん中辺りに、外国人らしい人が3人に居て、あれがお客様なのかなぁと思う。
その人垣の向こう、皆が注目している道場の真ん中辺りに探している西原がいて・・・何故かその上半身は何も着ていなかった。
汗に塗れた半身を露にした、袴一枚の西原が、お父さんと智也兄さんと御家元と、そして鷹也さんと一緒に立っている。
こちらに気付かないで、恐い顔で何かを言っている西原の肩には、鷹也さんが腕を回していた。
西原は何故かそれを振り払う気配が無い。
俺の西原が、どうして裸なのだろう?
俺の西原が、どうしてそれを周りの皆がじっと見ているのだろう?
俺の西原が、どうして裸の胸を鷹也さんに触れさせているのだろう?
西原は俺のなのに・・・綺麗なその身体に誰にも触れさせないと約束してくれたのに・・・西原代わりの指輪を俺は持っているのに・・・
どうして?
どうして?
どうして?
どうして?
「西原ぁ・・・・っ!」
信じられない光景に混乱して、俺は目を見開き、翔也兄さんの腕から身を乗り出してしまう。
そして出来る限りの声で恋人の名前を呼んで、でも急に寒気がして、胸がドキドキとして・・・
驚きこちらを振り向いた西原と目が合った瞬間にふいに視界が暗くなり、俺はそのまま気を失ってしまった。
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「いいですよ、はい、こっちにおいで、順也君」
「んんっ!いいっ、俺も道場に行くぞ・・っ」
お手伝いさんのフミエさんが見送ってくれて、俺は毛布にグルグル巻きにされ、翔也兄さんに抱えて貰って、離れから母屋の道場の見える位置まで来た。
見える大きな道場の格子の嵌った窓からは、まだ明るい光が漏れていて、中には人の気配が感じられた。
俺と翔也兄さんと三都葉先生と桜子さん。
皆が立っているのはT字の廊下の曲がり角で、離れから渡って来て、右に行けば西原達の居る道場で、左に行けば家の車のある場所に行けるらしい。
翔也兄さんは「待ってろ」というけれど、俺は一刻も早く西原の無事な姿を確認したかった。
だから、三都葉先生に渡されてしまいそうになるのを、毛布から手を出し、翔也兄さんの首にしがみ付いて阻止をする。
「行くぅ・・行くぅっ・・絶対に行く・・ぅっ!」
「うわっ、こらっ!暴れるなっ」
「ふぁぁぁ・・・気持ち悪いぞ・・・」
「キャアァ!順也ちゃんっ、しっかり」
絶対に連れて行って欲しいので、翔也兄さんの首にギュゥ!としがみ付いてブンブンと首を振ったら、途端に頭がフラフラとして気分が悪くなった。
「はぁ、もう、また具合が悪くなる位なら皆で行きましょう、それでさっさと優希君を回収して出発しますよ、道場の入り口はこっちですよね」
でも、それで皆がびっくりして、俺もちゃんと道場に連れて行って貰える事になる。
「こんな格好の順也を道場なんかに連れていったら俺が怒られるんですけど・・・って誰も聞いてねぇよなぁ・・・」
「ははは、ちゃんと聞いてるよ、翔也」
「ホホホ、何もしてあげられないけれど」
「うううううう・・・」
西原に合ったら直ぐに西原に抱っこしてもらおう。
ボヤく翔也兄さんに道場へ渡る長めの廊下を運んで貰いながら、俺はそう思う。
翔也兄さんでもいいけれど、同じ抱き上げて貰うならやっぱり西原がいい。
こうして翔也兄さんに抱っこして貰っていても、鷹也さんの事を思い出すと、何処からとも無く湧き出てくる恐ろしさで全身が竦んでしまう。
だけれど西原に抱き締めて貰えたなら、きっと心の底から安心出来るだろう。
もう直ぐ、道場の入り口のドアだった。
そこを開ければ西原が居ると思うと俺は嬉しくて仕方なくなる。
俺を好きだと言ってくれる甘く優しい声。
愛おしそうに見詰めてくれる金色の宝石みたいな目。
総てから守る様に抱き締めてくれる力強い腕と身体。
『俺は順也だけのものよ』と西原が約束してくれたから、その全部が俺だけのもだった。
その西原に早く逢いたいと思い、俺は手の中の指輪をギュッと握り締める。
「失礼します、翔也です、入ります」
俺に「早く」とせがまれて、翔也兄さんが道場へのドアを開ける。
目の前に居るのは、並べられた椅子に座ったり、半分腰を浮かせたりしている、何だか落ち着かない感じの10人位の大人の人達だった。
真ん中辺りに、外国人らしい人が3人に居て、あれがお客様なのかなぁと思う。
その人垣の向こう、皆が注目している道場の真ん中辺りに探している西原がいて・・・何故かその上半身は何も着ていなかった。
汗に塗れた半身を露にした、袴一枚の西原が、お父さんと智也兄さんと御家元と、そして鷹也さんと一緒に立っている。
こちらに気付かないで、恐い顔で何かを言っている西原の肩には、鷹也さんが腕を回していた。
西原は何故かそれを振り払う気配が無い。
俺の西原が、どうして裸なのだろう?
俺の西原が、どうしてそれを周りの皆がじっと見ているのだろう?
俺の西原が、どうして裸の胸を鷹也さんに触れさせているのだろう?
西原は俺のなのに・・・綺麗なその身体に誰にも触れさせないと約束してくれたのに・・・西原代わりの指輪を俺は持っているのに・・・
どうして?
どうして?
どうして?
どうして?
「西原ぁ・・・・っ!」
信じられない光景に混乱して、俺は目を見開き、翔也兄さんの腕から身を乗り出してしまう。
そして出来る限りの声で恋人の名前を呼んで、でも急に寒気がして、胸がドキドキとして・・・
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