「よーーし、席替え終了したな、今学期はこれでいくからな、勝手に交換とかするんじゃないぞ」
「はーーーいっ」
「うぃーーす」
「えーーーーーっ、やり直そうぜ〜」
教壇の上の羽田に言われて、席が気に入った者は元気に返事をし、そうでない者は不満タラタラの声を出す。
「もう決まったんだから諦めて静かにしろっ、次はクラス役員の選出っ、今日の日直、前に出てきてこのクラス役員を一通り、黒板に書き出してくれ」
しかし、羽田は聞く耳も持たずサラッと受け流して、黒板の席替えの文字を消し、代わりに持っていたプリントをペラペラさせながらそう言った。
「んんんっ!西原ぁ、気合って利くんだなっ!良かったなっ!!」
「そうだねぇ、きっと順也が頑張ったおかげだね、ありがとう、順也」
「んっ!そうだぞっ、俺、凄く頑張ったぞっ!」
西原と順也は運良く元気な返事グループで、見事に前後だけれど並んだ席を引き当てた。
順也が顔を真っ赤にして、『おい、鳳、そろそろいだろう』と羽田に心配されながら、クジを引いた賜物だ。
順也は窓際の一番後ろの今まで西原が座っていた席で、西原がやはり窓際の順也の前。
「俺が前に居て、黒板が見辛くない?」
「んんっ!大丈夫だぞっ」
前後が逆転していればなお良かったけれど、そこまで総てを求めるのは贅沢だろう。
振り返ると、何時でもそこに順也がいる。
「西原ぁ、お昼は机をくっつけて食べようなっ!」
「あはは・・そうだね、順也」
これで、家でも学校でも四六時中順也と一緒にいられることになってを約束されて、西原にとってこんなに嬉しいことはない。
「若林君もまた隣だな、よろしくなっ」
「おお、よろしく、奇遇だよな」
「ん?奇遇って何だ?」
「あ?奇遇・・奇遇、不思議な偶然って感じかぁ?」
ただ、たった一つ気に入らない事があるのなら、順也の隣の席が、前回同様何故か髪を金色に脱色したヤンキーな若林だということだ。
珍しく順也が他人になついている光景を前に、西原はついさっき感じた胸の支えをまた思い出してしまう。
―――順也は俺だけのモノなんだから気安く馴れ馴れしくするなっ!
そのせいで、今にも順也を腕の中に隠してそう叫びだしてしまいたくなるけれど、せっかく内気な順也が誰かと仲良くしようとしているのに、それを邪魔するなんて事は間違っていると理解する位の理性は残っていた。
「順也ともどもよろしくね、若林君」
順也の前でみっともない様子は見せられないので、出来るだけ余裕の笑顔を作り若林に向けてそう言うと、
「西原ぁ、オマエは『よろしく』の前に俺に何か言う事があるんじゃねぇ?」
しかし、言われた若林は急にヤンキーらしい半眼になったり西原を睨みながらそう言い返してきて、
「へ?」
順也の事だけで頭が一杯だった西原は、その意味が分からずについポカンとしてしまった。
夏休み前。
西原は順也への片想いが辛すぎて、情けないけれど順也を完全に無視してしまった時期が数週あった。
その時に、孤立してしまった順也に声を掛けてくれたのが若林で、順也はそれで若林に懐いているのだ。
順也を無視してしまっていた間の事を、本気で気が触れかけていた西原は余り良く覚えていない。
順也が高熱を出して居なかった終業式の日に、若林からその順也を無視していた間の事を聞かされてしまい、それで西原はクラスメートの揃っている教室で思い切り泣いてしまったのだった。
西原にとっては余りに情けない思い出したくない過去なので、順也に謝り許して貰えた後は、つい記憶の奥に押しやってしまっていた。
「オマエはっ!終業式の日に俺と話している途中でボロボロ大泣きしただろう!俺が何もしていないのにっ!皆の前でいきなりっ!何の前触れもなくっ!」
しばらく記憶を再生するのに手間取っていると、更に険しい顔になった若林にそう捲くし立てられてしまい、それで西原は言われている事が何なのかを思い出す。
「ああっ」
やっと合点が行ったので、数秒遅れでポンッと叩いたら、
「『ああっ』とか、やっとピンと来てんじゃねぇ!!あの後なぁ、俺が一体どんな酷い目に会ったと思う?『西原天使様を泣かせた最低の悪魔男』って呼ばれて、何処に行ってもウチの学校の女子だけじゃ無くて、見たこともねぇ制服着た女子にまで毛虫のみたいに嫌われてたんだぞっ!お陰で目標の彼女も出来なくて・・・っ!俺の夏休みを返せっ!『よろしく』の前にまずは俺に謝れっ!」
それが余程気に触ったらしく、怒髪天を突いた若林に、机をバンバン叩きながら抗議されてしまった。
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「はーーーいっ」
「うぃーーす」
「えーーーーーっ、やり直そうぜ〜」
教壇の上の羽田に言われて、席が気に入った者は元気に返事をし、そうでない者は不満タラタラの声を出す。
「もう決まったんだから諦めて静かにしろっ、次はクラス役員の選出っ、今日の日直、前に出てきてこのクラス役員を一通り、黒板に書き出してくれ」
しかし、羽田は聞く耳も持たずサラッと受け流して、黒板の席替えの文字を消し、代わりに持っていたプリントをペラペラさせながらそう言った。
「んんんっ!西原ぁ、気合って利くんだなっ!良かったなっ!!」
「そうだねぇ、きっと順也が頑張ったおかげだね、ありがとう、順也」
「んっ!そうだぞっ、俺、凄く頑張ったぞっ!」
西原と順也は運良く元気な返事グループで、見事に前後だけれど並んだ席を引き当てた。
順也が顔を真っ赤にして、『おい、鳳、そろそろいだろう』と羽田に心配されながら、クジを引いた賜物だ。
順也は窓際の一番後ろの今まで西原が座っていた席で、西原がやはり窓際の順也の前。
「俺が前に居て、黒板が見辛くない?」
「んんっ!大丈夫だぞっ」
前後が逆転していればなお良かったけれど、そこまで総てを求めるのは贅沢だろう。
振り返ると、何時でもそこに順也がいる。
「西原ぁ、お昼は机をくっつけて食べようなっ!」
「あはは・・そうだね、順也」
これで、家でも学校でも四六時中順也と一緒にいられることになってを約束されて、西原にとってこんなに嬉しいことはない。
「若林君もまた隣だな、よろしくなっ」
「おお、よろしく、奇遇だよな」
「ん?奇遇って何だ?」
「あ?奇遇・・奇遇、不思議な偶然って感じかぁ?」
ただ、たった一つ気に入らない事があるのなら、順也の隣の席が、前回同様何故か髪を金色に脱色したヤンキーな若林だということだ。
珍しく順也が他人になついている光景を前に、西原はついさっき感じた胸の支えをまた思い出してしまう。
―――順也は俺だけのモノなんだから気安く馴れ馴れしくするなっ!
そのせいで、今にも順也を腕の中に隠してそう叫びだしてしまいたくなるけれど、せっかく内気な順也が誰かと仲良くしようとしているのに、それを邪魔するなんて事は間違っていると理解する位の理性は残っていた。
「順也ともどもよろしくね、若林君」
順也の前でみっともない様子は見せられないので、出来るだけ余裕の笑顔を作り若林に向けてそう言うと、
「西原ぁ、オマエは『よろしく』の前に俺に何か言う事があるんじゃねぇ?」
しかし、言われた若林は急にヤンキーらしい半眼になったり西原を睨みながらそう言い返してきて、
「へ?」
順也の事だけで頭が一杯だった西原は、その意味が分からずについポカンとしてしまった。
夏休み前。
西原は順也への片想いが辛すぎて、情けないけれど順也を完全に無視してしまった時期が数週あった。
その時に、孤立してしまった順也に声を掛けてくれたのが若林で、順也はそれで若林に懐いているのだ。
順也を無視してしまっていた間の事を、本気で気が触れかけていた西原は余り良く覚えていない。
順也が高熱を出して居なかった終業式の日に、若林からその順也を無視していた間の事を聞かされてしまい、それで西原はクラスメートの揃っている教室で思い切り泣いてしまったのだった。
西原にとっては余りに情けない思い出したくない過去なので、順也に謝り許して貰えた後は、つい記憶の奥に押しやってしまっていた。
「オマエはっ!終業式の日に俺と話している途中でボロボロ大泣きしただろう!俺が何もしていないのにっ!皆の前でいきなりっ!何の前触れもなくっ!」
しばらく記憶を再生するのに手間取っていると、更に険しい顔になった若林にそう捲くし立てられてしまい、それで西原は言われている事が何なのかを思い出す。
「ああっ」
やっと合点が行ったので、数秒遅れでポンッと叩いたら、
「『ああっ』とか、やっとピンと来てんじゃねぇ!!あの後なぁ、俺が一体どんな酷い目に会ったと思う?『西原天使様を泣かせた最低の悪魔男』って呼ばれて、何処に行ってもウチの学校の女子だけじゃ無くて、見たこともねぇ制服着た女子にまで毛虫のみたいに嫌われてたんだぞっ!お陰で目標の彼女も出来なくて・・・っ!俺の夏休みを返せっ!『よろしく』の前にまずは俺に謝れっ!」
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