「なぁ、西原ぁ」
「はい、何、順也?裸でいないで早く制服に着替えて、学校に遅れちゃうよ」
「ん、今着るぞっ、それよりあのなっ、この西原の指輪、学校にしていっていいか?」
「ええっ、そんなの駄目だよっ」
「ちゃんと鎖で首に掛けるぞっ!オマエの指輪だし、ずっと持ってたいぞっ!」
「うん、でも人に見つかったら何て言うの?」
「ん〜と、『桜子姉さんがフランスで買ってきてくれた幸運のお守り』っ」
「ああ、そうだね、桜子さん考えてくれたその言い訳で何か皆それで納得しちゃうもんね、じゃあなるべく見つからないように、あと絶対に外さないようにしてね」
「んっ、分かったぞ!なぁ、西原ぁ」
「はいはい、今度は何?まだ朝ご飯も食べるんだから早く制服着ちゃって」
「んっ、でもその前に玄関じゃ出来ないから『行ってきます』のキスしておいてくれよなっ!」
「えっ?あはは・・そうだね、玄関じゃ出来ないから今しておこうね、でも二人で一緒に出掛けるのに『行ってきます』はちょっと変じゃない?」
「んんっ、別に大丈夫だぞっ、細かい事は気にしちゃ駄目だぞっっ!」
夏休みが明けたその日の朝。
始まりは至極順調だった。
前夜のお酒もしっかり抜けた順也は元気に朝稽古をこなして、すこぶる機嫌が良い。
ニコニコ元気な順也を前にして、西原の機嫌も悪い筈は無かった。
―――ああ、良い一日になりそうだなぁ・・
順也の笑顔がそこにある。
ただそれだけで、西原のは自分の未来がバラ色に染まって見えてしまう。
しかし、それは幻想だという事を、恋人同士になった順也と初めて学校に行くこの日、嫌という程思い知る事になるのだった。
「行ってきますっ!」
「いっています」
AM8:00、今日も朝から良い天気で空が青い。
「行ってらっしゃい、順也ちゃん、優希ちゃん、忘れ物はない?」
「んっ!大丈夫だぞっ、なぁ、西原っ」
「はい、全部持ちました」
「久しぶりの学校頑張ってね、いってらっしゃい、順也ちゃん、優希君」
玄関まで見送ってくれた小枝こと、昨日の晩は泊まったので朝から家に居る桜子に手を振って、西原は順也と並んで家の玄関を出た。
そして、家の裏の駐車場に止まっている黒塗りの車の後部座席に乗り込む。
「お待たせしました、三都葉先生、翔也さん」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「出発するぜ、忘れ物はねぇか?」
「はい、大丈夫です」
「んんっ!さっきもお母さんに聞かれたぞっ!翔也兄さんはしつこいぞっ!」
「心配してやってんだろうがっ!それに俺は一度目だぞっ、しつこいとか言うなっ!」
「んんん〜、西原ぁ、翔也兄さんが朝から怒りっぽいぞ」
「あはは・・・じ、順也っ」
「優希ぃ!てめぇの教育が悪いっ!!!!」
「ああああ、スミマセン、スミマセン」
「ははは・・・問題無いみたいだから出発しますよ」
車の中には先に乗っていた翔也と三都葉が待っていた。
新しい病院の開院準備が架橋なので今日はもう仕事に行くという、昨日の晩はやはりこの家に泊まった三都葉と、今日は大学の図書館でレポートのラストスパートを頑張るという翔也。
今日は学校まで二人が出掛ける車に乗せて貰える事になったのだ。
登校初日のこの日。
宿題やら、持ち帰っていた部活の道具をまた持ち込むやらで、意外と荷物が多いい。
玄関に山積になった荷物の量に西原はちょっとウンザリしていたので、送って貰える事になり本当に助かった。
「荷物が沢山あったから良かったな、西原ぁ」
「そうだね、順也」
朝の街を静かに駆け抜ける高級車の涼しい後部座席で、順也は引き続きニコニコと機嫌が良い。
勿論、服装は真っ白な半そでワイシャツと黒い学生ズボンの制服姿だ。
どんな格好も可愛い順也だけれど、ピッチリとストイックな制服姿はやはり絶品だった。
―――ああ、新学期ってもの凄くいいなぁ
西原がしまりの無い顔で、久々の愛らしい制服を堪能しているうちに、車はあっと言う間に西原達の通う中学校の前に到着した。
「チッ!順也ちゃんは私が送って行こうと思っていたのに、美味しいところを持っていかれたわ、三都葉先生、後で覚えてらっしゃいっ!後、ヘラヘラ嬉しそうに車に乗っちゃった優希君もついでに覚えてらっしゃいっ!」
「あら?今、何かおっしゃった?桜子さん」
「おほほ・・何でもありませんわ、お母様、お洗濯ですね、桜子も手伝いまぁす」
同じその頃、三都葉の車を見送った桜子が、そんな不穏な事を呟いているなんて、西原は知る由も無かった。
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「はい、何、順也?裸でいないで早く制服に着替えて、学校に遅れちゃうよ」
「ん、今着るぞっ、それよりあのなっ、この西原の指輪、学校にしていっていいか?」
「ええっ、そんなの駄目だよっ」
「ちゃんと鎖で首に掛けるぞっ!オマエの指輪だし、ずっと持ってたいぞっ!」
「うん、でも人に見つかったら何て言うの?」
「ん〜と、『桜子姉さんがフランスで買ってきてくれた幸運のお守り』っ」
「ああ、そうだね、桜子さん考えてくれたその言い訳で何か皆それで納得しちゃうもんね、じゃあなるべく見つからないように、あと絶対に外さないようにしてね」
「んっ、分かったぞ!なぁ、西原ぁ」
「はいはい、今度は何?まだ朝ご飯も食べるんだから早く制服着ちゃって」
「んっ、でもその前に玄関じゃ出来ないから『行ってきます』のキスしておいてくれよなっ!」
「えっ?あはは・・そうだね、玄関じゃ出来ないから今しておこうね、でも二人で一緒に出掛けるのに『行ってきます』はちょっと変じゃない?」
「んんっ、別に大丈夫だぞっ、細かい事は気にしちゃ駄目だぞっっ!」
夏休みが明けたその日の朝。
始まりは至極順調だった。
前夜のお酒もしっかり抜けた順也は元気に朝稽古をこなして、すこぶる機嫌が良い。
ニコニコ元気な順也を前にして、西原の機嫌も悪い筈は無かった。
―――ああ、良い一日になりそうだなぁ・・
順也の笑顔がそこにある。
ただそれだけで、西原のは自分の未来がバラ色に染まって見えてしまう。
しかし、それは幻想だという事を、恋人同士になった順也と初めて学校に行くこの日、嫌という程思い知る事になるのだった。
「行ってきますっ!」
「いっています」
AM8:00、今日も朝から良い天気で空が青い。
「行ってらっしゃい、順也ちゃん、優希ちゃん、忘れ物はない?」
「んっ!大丈夫だぞっ、なぁ、西原っ」
「はい、全部持ちました」
「久しぶりの学校頑張ってね、いってらっしゃい、順也ちゃん、優希君」
玄関まで見送ってくれた小枝こと、昨日の晩は泊まったので朝から家に居る桜子に手を振って、西原は順也と並んで家の玄関を出た。
そして、家の裏の駐車場に止まっている黒塗りの車の後部座席に乗り込む。
「お待たせしました、三都葉先生、翔也さん」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「出発するぜ、忘れ物はねぇか?」
「はい、大丈夫です」
「んんっ!さっきもお母さんに聞かれたぞっ!翔也兄さんはしつこいぞっ!」
「心配してやってんだろうがっ!それに俺は一度目だぞっ、しつこいとか言うなっ!」
「んんん〜、西原ぁ、翔也兄さんが朝から怒りっぽいぞ」
「あはは・・・じ、順也っ」
「優希ぃ!てめぇの教育が悪いっ!!!!」
「ああああ、スミマセン、スミマセン」
「ははは・・・問題無いみたいだから出発しますよ」
車の中には先に乗っていた翔也と三都葉が待っていた。
新しい病院の開院準備が架橋なので今日はもう仕事に行くという、昨日の晩はやはりこの家に泊まった三都葉と、今日は大学の図書館でレポートのラストスパートを頑張るという翔也。
今日は学校まで二人が出掛ける車に乗せて貰える事になったのだ。
登校初日のこの日。
宿題やら、持ち帰っていた部活の道具をまた持ち込むやらで、意外と荷物が多いい。
玄関に山積になった荷物の量に西原はちょっとウンザリしていたので、送って貰える事になり本当に助かった。
「荷物が沢山あったから良かったな、西原ぁ」
「そうだね、順也」
朝の街を静かに駆け抜ける高級車の涼しい後部座席で、順也は引き続きニコニコと機嫌が良い。
勿論、服装は真っ白な半そでワイシャツと黒い学生ズボンの制服姿だ。
どんな格好も可愛い順也だけれど、ピッチリとストイックな制服姿はやはり絶品だった。
―――ああ、新学期ってもの凄くいいなぁ
西原がしまりの無い顔で、久々の愛らしい制服を堪能しているうちに、車はあっと言う間に西原達の通う中学校の前に到着した。
「チッ!順也ちゃんは私が送って行こうと思っていたのに、美味しいところを持っていかれたわ、三都葉先生、後で覚えてらっしゃいっ!後、ヘラヘラ嬉しそうに車に乗っちゃった優希君もついでに覚えてらっしゃいっ!」
「あら?今、何かおっしゃった?桜子さん」
「おほほ・・何でもありませんわ、お母様、お洗濯ですね、桜子も手伝いまぁす」
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