「あの、失礼します、優希です・・・えっと・・お茶の交換に来ました」
「あら、ありがとう優希ちゃん、こちらに頂戴、後はお母さんがやっておくわ」
「はい・・・あの、他に何か御用はありませんか?」
「うふふ、気が利くのね、でも今は大丈夫よ、ありがとう」
「お菓子とか・・あっ、晩御飯とか」
「ありがとうございます、優希君、でも急にお訪ねしてしまったのだし、直ぐにお暇しますからお構いなく」
「あっ、はい・・え・・と・・」
「何だ?優希、誰かに用事があるのか?」
「いっいえっ!!無いですっ、失礼しましたっ!」
いくら桜子と三都葉に背中を蹴られて強制されても、まさか本当に立ち聞きなんて出来るはず無い。
なので、苦肉の策で頼まれもしないのに客間にお茶の替えを持って行ったのだけれど、それを入り口で小枝子に渡す僅か30秒の間に何かが分かる訳も無かった。
「何か分かったかしら?優希君」
「当然、分かったよね、優希君」
「あっ・・はは・・えっと・・・」
特に収穫も無いまま意気消沈した西原が台所に戻ると、そこで待ち構えていた桜子と三都葉が期待に目を輝かせて詰め寄ってきた。
お皿を洗っていてくれていて、西原のマネをしてエプロンをした姿でそれぞれ手にスポンジとフキンを持っているのだが、二人のセレブな雰囲気と笑えるくらいに合っていない。
「あ・・・そういうの似合いませんね」
成果を聞かれても特に答える事は無いので、ついいらない感想を先に口に上らせると、
「あのね、優希君・・」
「貴方もまったく似合って無いわよ・・」
結構グサッとする指摘を受けてしまった。
「何もって、何か気付いた事はあるだろう?部屋の雰囲気とかはどうだった?」
「え・・えっと、皆ちょっと沈んだ顔でテーブルを囲んでいて、翔也さんも飽きないで真面目な顔をしていました」
「翔也もねぇ、興味の無い話なら抜け出て来そうなものだし、かなり深刻な話しみたいだね」
「優希君、テーブルの上には何かあったのかしら?」
「あっ、はい・・、多分、本家のお屋敷の図面が広げて置いてありました、田淵さんが大きな紙袋を持っていたんで、その中に入っていたんだと思います、それで、敷地の金トのいる池の庭と、御家元の部屋のある離れの在る方半分が、グルリと赤いサインペンで囲んでありました」
「何か書類みたいなものは無かったかしら?」
「え・・・、ああ、おじさんと智也さんが、分厚い紙の束を持って読んでいました、おじさんのは見えなかったけれど、智也さんのは表紙に・・『JJFホールディングス』って書いてありました」
流しの前が年長の嫁二人で一杯なので、仕方なく西原は拭き終わった食器を、棚に戻す事にする。
そうしながら、無いながらも客間で見てきた僅かな情報を、聞かれるままに話してみた。
「うううう・・・役に立たなくてすみません」
しかし、やっぱりロクな話は出来なくて、欲求不満の二人からまたケチョンケチョンに罵倒される事を覚悟するけれど、
「そんな事ないわ、大収穫よ、行って貰って良かったわ、やっぱり心配していた通りね」
「なかなか良くやったぞ、優希君、顔だけが賢そうというのは撤回する、やっぱり本当に賢いんだねぇ」
しかし何故だか褒められてしまい、西原はお皿を棚に載せる中途半端なポーズのままポカンとしてしまった。
「JJFホールディングスっていうのは、大手銀行が親会社の簡単に言ってしまえば不動産屋よ、都心の条件の良い土地を買ってそこにマンションや商業ビルを建てるの」
「えっ、それってどいう事ですか?えっと、御家元があの本家の土地を売ってマンションを建てるっていう事ですか?」
「ああ、噂を聞いて心配していたんだけれどね、どうやらそうらしいね」
「噂って・・三都葉先生が聞いたんですか?そんな事一体誰から?」
聞いたことの無い会社の名前やら、あの立派な家を切り売りしてしまうね耳に水の話しやら、それを知っていたらしい桜子や三都葉の態度やら、思いもしていなかった話の展開に西原は混乱してしまう。
「ちゃんと全部説明するから落ち着いてね、優希君」
「洗い物も済んだし、コーヒーでも飲みましょうか、失礼して私が煎れさせて貰いますよ、これは結構得意なんです」
思わずお皿を持ったままの姿勢で考え込んでいると、二人から気遣うように声を掛けられた。
ランキング参加中!
ポチッ↓ありがとうございます♪大変励みになっています〜(^^)
「あら、ありがとう優希ちゃん、こちらに頂戴、後はお母さんがやっておくわ」
「はい・・・あの、他に何か御用はありませんか?」
「うふふ、気が利くのね、でも今は大丈夫よ、ありがとう」
「お菓子とか・・あっ、晩御飯とか」
「ありがとうございます、優希君、でも急にお訪ねしてしまったのだし、直ぐにお暇しますからお構いなく」
「あっ、はい・・え・・と・・」
「何だ?優希、誰かに用事があるのか?」
「いっいえっ!!無いですっ、失礼しましたっ!」
いくら桜子と三都葉に背中を蹴られて強制されても、まさか本当に立ち聞きなんて出来るはず無い。
なので、苦肉の策で頼まれもしないのに客間にお茶の替えを持って行ったのだけれど、それを入り口で小枝子に渡す僅か30秒の間に何かが分かる訳も無かった。
「何か分かったかしら?優希君」
「当然、分かったよね、優希君」
「あっ・・はは・・えっと・・・」
特に収穫も無いまま意気消沈した西原が台所に戻ると、そこで待ち構えていた桜子と三都葉が期待に目を輝かせて詰め寄ってきた。
お皿を洗っていてくれていて、西原のマネをしてエプロンをした姿でそれぞれ手にスポンジとフキンを持っているのだが、二人のセレブな雰囲気と笑えるくらいに合っていない。
「あ・・・そういうの似合いませんね」
成果を聞かれても特に答える事は無いので、ついいらない感想を先に口に上らせると、
「あのね、優希君・・」
「貴方もまったく似合って無いわよ・・」
結構グサッとする指摘を受けてしまった。
「何もって、何か気付いた事はあるだろう?部屋の雰囲気とかはどうだった?」
「え・・えっと、皆ちょっと沈んだ顔でテーブルを囲んでいて、翔也さんも飽きないで真面目な顔をしていました」
「翔也もねぇ、興味の無い話なら抜け出て来そうなものだし、かなり深刻な話しみたいだね」
「優希君、テーブルの上には何かあったのかしら?」
「あっ、はい・・、多分、本家のお屋敷の図面が広げて置いてありました、田淵さんが大きな紙袋を持っていたんで、その中に入っていたんだと思います、それで、敷地の金トのいる池の庭と、御家元の部屋のある離れの在る方半分が、グルリと赤いサインペンで囲んでありました」
「何か書類みたいなものは無かったかしら?」
「え・・・、ああ、おじさんと智也さんが、分厚い紙の束を持って読んでいました、おじさんのは見えなかったけれど、智也さんのは表紙に・・『JJFホールディングス』って書いてありました」
流しの前が年長の嫁二人で一杯なので、仕方なく西原は拭き終わった食器を、棚に戻す事にする。
そうしながら、無いながらも客間で見てきた僅かな情報を、聞かれるままに話してみた。
「うううう・・・役に立たなくてすみません」
しかし、やっぱりロクな話は出来なくて、欲求不満の二人からまたケチョンケチョンに罵倒される事を覚悟するけれど、
「そんな事ないわ、大収穫よ、行って貰って良かったわ、やっぱり心配していた通りね」
「なかなか良くやったぞ、優希君、顔だけが賢そうというのは撤回する、やっぱり本当に賢いんだねぇ」
しかし何故だか褒められてしまい、西原はお皿を棚に載せる中途半端なポーズのままポカンとしてしまった。
「JJFホールディングスっていうのは、大手銀行が親会社の簡単に言ってしまえば不動産屋よ、都心の条件の良い土地を買ってそこにマンションや商業ビルを建てるの」
「えっ、それってどいう事ですか?えっと、御家元があの本家の土地を売ってマンションを建てるっていう事ですか?」
「ああ、噂を聞いて心配していたんだけれどね、どうやらそうらしいね」
「噂って・・三都葉先生が聞いたんですか?そんな事一体誰から?」
聞いたことの無い会社の名前やら、あの立派な家を切り売りしてしまうね耳に水の話しやら、それを知っていたらしい桜子や三都葉の態度やら、思いもしていなかった話の展開に西原は混乱してしまう。
「ちゃんと全部説明するから落ち着いてね、優希君」
「洗い物も済んだし、コーヒーでも飲みましょうか、失礼して私が煎れさせて貰いますよ、これは結構得意なんです」
思わずお皿を持ったままの姿勢で考え込んでいると、二人から気遣うように声を掛けられた。
ランキング参加中!
ポチッ↓ありがとうございます♪大変励みになっています〜(^^)





