西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
場所・・・深海の魔女の住む洞窟
登場人物・・・深海の魔女 桜子
        海の国の第三王子 順也(人魚)



「深海の魔女の桜子姉さん」
「はい、何かしら?海の国の第三王子の順也ちゃん?」
「俺なっ、人間になりたいぞっ、だから、桜子姉さんの魔法で人間にしてくれよなっ」
「まぁ、どうしてかしら?そんな事をしたら、大様も王妃様もお兄様達もビックリしてしまうわ」
「あのな、昨日の晩、外の世界は凄い嵐だったろう?」
「そうね、波が酷くて海の中まで結構騒がしかったわね」
「んっ、その時にな面白そうだから、智也兄さんに内緒で翔也兄さんと海面まで遊びに行ったんだ」
「まぁっ!そんな、危ないわっ!」
「んんっ、俺は全然大丈夫だぞっ!翔也兄さんは波に揉まれてちょっと溺れてたけど」
「はぁ・・・翔也君はもう・・本当に人魚なのかしら・・」
「でもなっ、俺は大丈夫だったけれど、人間の乗った大きな船が沈みそうになってて、小さなボートに乗り移って逃げようとしてたんだ」
「まあ・・・そう言えば、嵐の後に船の残骸みたいな物が浮いていたかしら?でも、嵐の海ん船を出すなんて、海を侮った人間も愚かだわ」
「ん〜、波にさらわれていなくなった子供を探してたみたいだぞ」
「まぁ、そうだったの・・でも、嵐の海は人間が踏み込んでいい世界ではないわ」
「ん?そうなのか?難しいのは分からないぞ・・それでなっ!俺と翔也兄さんは人間に見つかったらいけないから隠れてたんだけれど、目の前にボートから落ちた人間が流れてきたんだ」
「まぁ・・・まさか順也ちゃん・・まさかあなたその人間を助けたの?人間になりたいってそれが原因?」
「んんっ!良く判るなっ、桜子姉さん!そうだぞっ!助けた人間が金色のお月様みたいにもの凄〜く綺麗で、どうしてももう一度会ってみたいから俺を人間にしてくれよなっ」



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2008.07.09(21:00)|人魚姫コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
「ありがとうございましたっ!」
「ありがとうございましたっ」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「うぅーーー熱ぃぃぃ」
「はい、お疲れ様です」
 夏休み最後の日の午後3時。
 残暑の熱気に満ちた鳳家の道場の中で、道着に身を包み一列に並んで正座した、順也、西原、智也、翔也、それに三都葉は、前にやはり正座している史也に向かい一斉に頭を下げた。
 最初は、家に居た史也に西原と順也だけが稽古を付けてもらう筈だったのだけれど、話を聞きつけた智也と翔也が慌てて帰ってきて、翔也には何故か三都葉も付いてきた。
「うぅぅ〜、何でこんな暑い中で稽古なんかすんだよぉ〜、夜でいいだろぉ」
「んんっ!別に翔也兄さんは誘ってないぞっ!」
「何だと〜、人が態々帰ってきて付き合ってやってるのに生意気な事言うなっ!」
「痛いぞっ!何でブツんだっ?西原ぁ〜、翔也兄さんが苛めるぞっ、ここぶたれたぞっ」
「えっ、何処?痛いの?順也」
「小突いただけで痛いわけねぇだろうがっ!優希もベタベタ甘やかすなっ!オマエが一々とりあうから順也が際限無く甘ったれになるんだよっ」
「うう・・スミマセンっっ!」
「こらっ!翔也っ、順也も先生の前でみっともないだろう、止めなさいっ!」
「ははは、かまいません、楽しそうで羨ましいですよ、お兄さん」
「えっ・・・お兄さん?え・・あっと・・三都葉先生、私の方が年下ですよね?」
「ははははははははは・・・細かい事は気になさらいでください、お兄さん」
「え?はは・・細かい・・ですか?」
「さあ、ここは暑いし母屋に戻りましょう、翔也、先生をお風呂にご案内してください」
「はいよっ、先輩、こっちだぜ、上がったら一緒にビールなっ!」
「あ、俺、後片付けして行きます」
「んんっ、西原がするなら俺もするぞっ!」
 
 本家での一件があって以来、順也は入院したり、部屋に引き篭もってみたり、宿題に追われたりで、剣道の稽古どころでは無かった。
 一時は、『剣道なんか大嫌い』とまで言って周囲を心配のどん底に叩き落した順也。
 その順也が、また楽しそうに生き生きと稽古をする姿を見る事が出来て、皆、茹だる様に暑い道場での稽古に態々出先から帰ってきてまで付き合って、それでも酷く嬉しそうだった。
 それは西原も同じ事で、気を緩めると、稽古中にも関わらず、にへぇと顔が緩んできてしまう。
 実際、順也の機嫌が良くて、順也の家族も機嫌が良くて、順也の夏休みの宿題もパーフェクトに終わっていて、今の西原に恐いものは何も無かった。
「お風呂も混んでいそうだし、床の雑巾賭けもしちゃおうか?」
「んっ、いいぞっ!」
「じゃあ、バケツと雑巾を取ってこようね、おいで」
 なので、つい弾んでしまう声でそう言いながら、西原は順也に手を伸ばした。
「んっ、西原ぁ」
「あはは・・そんなにしがみ付いたら歩けないよ、順也」
 甘えた様子で腕にしがみ付いてきた順也を従えて、ウキウキ気分で道場から出ようとした時、
『こんにちは〜、鳳様、伊世丹の田中で〜す』
 しかし、そんな西原の幸せに影を落とす、『伊世丹外商部山田次郎さん』の訪問を告げる声が、遠く聞こえてきた。



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2008.07.09(18:17)|dropped somethingコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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