西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
「ブタに真珠って何だ?」
 玄関で出迎えてくれて以来、ケント君は一言も口を利かなかった。
 でも、やっと声を掛けてくれたケント君に向けて、俺はちょっとワクワクしてそう聞いてみる。
 ケント君はフワフワに巻いた髪が銀色で、目がびっくりする位に綺麗な緑で、顔も物凄く可愛い。
 背はちょっと俺より高いけれど、見た目はほっそりと女の子みたいで、歳はちょうど俺と同じ位だった。

 ユウキの恋人になって、この都に来て一ヶ月。
 ユウキが都は治安が悪くて危ないと言うから、あんまりユウキのお屋敷からは出して貰えなかった。
 たまに出掛ける先は、お祈りに行く日曜日の教会か、たまに遊びに行くユウキのお友達の王様の住んでいるお城くらい。
 でも、ユウキのお屋敷にも、王様のお城にも、沢山の召使の人がいるけれど、俺と同じくらいの歳の人間は1人もいなかった。
 なので、ケント君は、俺がこの都の来て始めて口を利いた同年代の少年だ。
 ユウキもアレン・マリーさんも王様も召使の人も、都に来て会った人は皆俺に優しくしてくれる。
 でも、皆が大人でお仕事が忙しいから、誰も俺と一緒に遊んでくれなくて、俺は少しだけ詰まらなかった。

「ブタに真珠っていうのは、値打ちの分からない者に高価なものを与えること」
 俺の質問に、ケント君はまたボソッとした声で答えてくれる。
 そして、何故だか『はぁっ』と大きな溜息をついて、頭をフリフリと振った。
「ふぅーーん、難しい事を知っててユウキみたいだなっ、あのな、ケント君は何歳なんだ?」
 ケント君の教えてくれた『ブタに真珠』の意味は、分ったような分らなかったようなだった。
 でもそんな事はどうでも良くて、俺は同じ年頃のケント君ともっと話をしてみたくて、綺麗な緑色の瞳をじっと見詰めてそう聞いてみた。



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2008.05.27(23:02)|LOVE RINGコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
「順也っ?!」
「順也ちゃんっ?」
「まあっ、どこに行っていたの?」
 史也、小枝子、智也、翔也、それに桜子と西原。
 『警察』という言葉に居間にいた一瞬全員が顔を見合わせ、それから全員が一塊にな玄関に出ると、そこには二人の制服警官に挟まれて、順也が立っていた。
 やっぱり着替えていてTシャツと膝までの半ズボンの可愛い姿で、手にはコンビニのものらしい買い物袋を持っている。
 体格の良い警官の間で、妙に小さく見える順也は、しかし、俯いたまま出てきた家族の方を見ようともしない。
「こちらのお子さんですか?」
 家の中から大量の人間が飛び出してきて、二人の警官は少し驚いた様だけれど、俯く順也の肩に手を置きそう尋ねて来た。
「はい、息子の順也です、具合が悪くて寝ていたのに部屋からいなくなってしまって、今から探しに出ようと思っていました」
「そうですか、順也君は市民公園のコンビにの前で青い顔をして座り込んでいました、自分で帰れると言い張ったんですけれど、まだ具合が悪そうだったので送ってきました」
 史也が返事をすると、ニコニコと笑いながら背中を押して、順也をこちらに返してくれる。
「もう具合が悪いのに、お家から出ないようにね」
 そして、順也に向けてそう言い残し、二人で敬礼をしてから、家の前に停めてあったパトカーに乗り帰っていった。
「このアンポンッ!心配させんなっ」
「順也っ!誰にも何も言わないで出て行ったら驚くだろうっ、コンビニなんかで何をしてたんだっ?」」
「あら、二人とも怒らないで、順也ちゃんは何か欲しいものがあったのよね?でも、次からそういう時は桜子お姉さんに言って?何でも買ってくるわ」
 史也と小枝子はパトカーを見送りに出てしまい、残った兄二人と桜子が、まだ玄関から上がらずに立っている順也に群がる。
 でも順也はずっと俯いたままで、誰の言葉にも反応しない。
 
 西原はそんな順也の様子を一歩離れた場所からジッと見ていた。
 何時もの順也なら、今みたいに知らない大人に話し掛けられたり、兄達や母親に小言を言われたりすると、「西原ぁ」と名前を呼んで必ず背中に隠れてきた。
 そして、総ての事態を丸投げして、自分は隠れた背中から顔を覗かせて、事が過ぎ去るのをジッと待っている。
 なのに、今は頼るどころか顔すら見てもらえなくて、西原は順也の自分に対する怒り深さをまざまざと知ってしまい、もう声を掛けることすら出来ない。
「あ・・順也・・・それお弁当?もしかしてお腹が空いてるの?ごめんね、今ね、オヤツを持っていこうとしていたんだよ・・ゼリー食べる?」
 でも、順也が手に提げている買い物袋の中身がお弁当だと透けて見えて、思わず声を出してしまう。
 見かけは派手なコンビニのお弁当を順也はよく食べたがっていたけれど、どう見ても栄養が偏っていそうなので、西原はめったに買うことを許さなかった。
 なのに、消化も悪そうなそれをこんな体調が悪い時に食べるなんて、万が一お腹でも壊したら取り返しがつかない。
「晩御飯もすぐに準備出来るよ?順也の好きなモノばかり沢山作ったから・・こういうお弁当はまた元気になってから食べようね?」
 でも、心配した西原が持っているお弁当を取ろうとすると、順也はピクリと肩を震わせる。
「・・・・っ!」
「はぁ?弁当買いに行ったのか?何でまたそんなモノを・・って、こらっ」
「あっ、順也っ、待ちなさいっ」
「順也ちゃんっ?」
 そして、西原の手から乱暴にお弁当を引き戻し、そのまま止める兄達や桜子の声を振り切って、駆け足で渡り廊下を渡り自分の部屋へと帰って行ってしまった。



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2008.05.27(07:53)|hanging gardensコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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