西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
「にゃうっ・・にゃうっ・・にゃにゃぁーー」
「こらっ、まっしろっ、悪戯はダメだぞっ」
「ジュンヤさんこそっ静かにしてっ、ピンが刺さりますよっ」
 さっきいた部屋から厚いカーテンを一枚隔てた隣の部屋は、やっぱり庭に面して明るかったけれど、何も無くてガランとしていた。
 ただ、壁に大きな鏡が掛かっていて、後はその鏡の横にテーブルが一つと、椅子が二個あるだけだった。
 その鏡の前で俺は、リィンさんとケント君に手伝って貰って着ていた服を脱いでいく。
 リィンさんにまっしろは置いていけと言われたけれど、1人はやっぱり寂しかったので、「まっしろも一緒がいいぞっ」と言ったらユウキがお願いしてくれて、着替える間だけはいいと言って貰えた。
 でも、この後の検査になったら、絶対に駄目らしい。
 まっしろは部屋に入ってからずっと、カーテンの飾り紐の先に付いているボンボリにじゃれるのに夢中になっている。
 ユウキが朝起きた時から物凄く優しくしていてくれていたから何となく忘れていたけれど、そう言えば俺はここに検査を受けに来ていて、その検査はやっぱり恐かった。
 でも、検査までの間でもまっしろが傍にいてくれると思うと、ちょっとだけほっとする。
「素晴らしい細工のものばかりですね、この金の透かし彫りは名工エリンツの手によるものかな?彼が王家の御用達品以外で仕事をした品物なんて始めて見ました」
 リィンさんは、まずは俺の付けていたマントを留めていたブローチや、腰のベルトや、帽子の羽根飾りを外してくれて、それをテーブルの上に丁寧に並べながらそう言った。
「それに、こんな大きなドラゴンブラッドルビーは初めて見ました、どの石も傷一つないし透明度も形も文句無い、ベルトのも全部同じカラーの石ですね、稀少な石なのにこれだけ数を揃えられるのは流石は王立商人です、特にこの一番大きなものは王家の宝物庫にもないかもしれない、本当に見事だ、素晴らしいです」
 そして、やたらに熱心に褒めながら、それらに付いている紅いドラゴンブラッドルビーという宝石をジッと眺める。
 リィンさんが言う宝石は、胸のブローチの一つが一番大きくて、帽子の羽根飾りにも少し小さいのが一つと、あと、ベルトにももう少し小さいのが沢山付いている。
「そうなのか?『稀少』って何だ?」
 でも、そんな難しい事を沢山言われても、全部ユウキが選んで揃えてくれたものばかりで、キラキラしていて綺麗だなと思うけれど俺には良く分らない。
 なので、首を傾げて俺がそう聞くと、
「ブタに真珠」
 俺の外したマントを畳んでくれていたケント君が、小さな声でボソリとそう言った。



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2008.05.26(21:52)|LOVE RINGコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
「え?順也?」
 空っぽの順也の部屋に、西原は慌てて足を踏み入れた。
「順也?どこ?」
 そして部屋の中を歩き回り、グルリと見回すけれど、元からそこ一部屋しかないのだから、それ以上探しようも無い。
 部屋の真ん中には、昼間に西原が敷いておいた布団があり、上掛けが捲れていて一度は寝た後がある。
 しかし、その上には脱いだパジャマがクシャクシャに落ちていて、着替えを出したのか、押入れの襖が開き、中の衣装ケースの引き出っぱなしになっている。
 更に、何時もお小遣いを入れている引き出しが開けっ放しで、極め付けに庭に出る掃き出し窓が開けっ放しになっていた。
 そこから見て庭を探しても、そこに順也の姿は無い。
―――家出っ!?
 見た状部屋の況から咄嗟にその単語が頭に浮かび、西原は慌てて母屋へと引き返した。

「順也が部屋にいませんっ」
 全員が揃っている居間に飛び込み西原がそう告げると、途端に家中が蜂の巣を突いた様な騒ぎになった。
「順也っ、いるのっ?」
「順也ちゃんっ、何処なの?寝てなさいって言ったのに、我侭ばかりでお母さん怒るわよっ!」
「まあまあ、お母さん、順也、お父さんは怒りませんから出てきてください」
「あなたっ!」
「すみません、お母さん、順也を怒らせた原因を作ったのは俺なんですっ、だから順也とおじさんを叱らないでくださいっ」
「智也さんっ、道場かもしれませんわっ」
「今、翔也が見に行っていますよ」
「わぁぁっ、駄目だっ、道場にもいねぇっ!」
 もしかして、拗ねて何処かに隠れているのかも?
順也に限って家出なんてと全員が一通り家の中を探すけれど、何処にもその姿は無い。
「お小遣いの引き出しが開いて、中身が減っていましたからやっぱり出掛けたんだと思います」
「あの馬鹿っ、具合が悪いのに本当に外に出たのか?」
「まあっ、あの子、まだ顔色が悪かったのに、どうしましょう・・っ」
「お母様っ、お気をしっかりなさって下さいっ!智也さんっ!警察ですわっ、直に警察に連絡しましょうっ!」
「そうですね・・でも警察は・・ああ、そんな事を言っている場合じゃないですね、お父さん?」
「はい、連絡して探して貰いましょう」
「俺っ!外に探しに行って来ますっ!!」
 それで、やっぱり家から出て行ってしまったんだという結論になり、史也が警察に連絡する為に電話に手を掛け、他の人間が外に探しに出ようと玄関に向おうとした時、
―――ピンポーン・・ピンポーン・・
 来客を告げるチャイムの音が、家の中に響き渡る。
「こんばんわーーっ、鳳さーーん、いらっしゃいますかーー?警察の者でーーすっ」
 そして、暑いので続けて開け放してある玄関から、家の中に向かいそう呼ぶ声がした。



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2008.05.26(06:52)|hanging gardensコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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