西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
 俺が大きくなって、リングが少しでも身体に合わなくなったら直に外す。
ダルビング名人とユウキはそう約束をした。
「値の張るなものだから、そう約束してもなかなか外さない輩も多くてのぅ、困っておる」
「他の方の事は知りませんが、私にとっては特に高い買い物ではありません、約束はきちんと守ります」
「王立商人ユウキ・サイバラ、ドーリス一の豪商、まあ、あんたにとってはそうじゃろうな・・ふん、いいじゃろう・・・・リィン、検査の準備をしなさい」
 そして、しばらくまたじっと俺を見てから、ダルビング名人はそう言い、部屋の奥に向けて声を掛けた。
 すると、さっき門まで迎えに来てくれたケント君と、もう1人、綺麗な黒い髪を背中まで伸ばしたリィンさんというカッコイイお兄さんが、仕切りのカーテンの向こうから出てきた。
 でも、リィンさんは顔を半分髪で隠してしまっていて、せっかくカッコイイのにどうしてだろう?と思う。
「では検査着に着替えますから、ジュンヤさんはこちらにいらしてください、あ、その猫ちゃんはここに置いて行ってくださいね」
 そして俺のジッと見ている視線にリィンさんはニコリと微笑み返しながら、優しい声でそう言った。

「ユウキィ?」
「はいはい、手伝うよ、隣の部屋で着替えるんですか?」
 今日着ている服も、沢山ボタンが付いていて着るのも脱ぐのも難しい。
 なので、俺はユウキの方を見ると、ユウキは俺と一緒に立ち上がって、リィンさんにそう聞いてくれる。
「サイバラ様はこちらで今から、うちの職人頭からのご質問がまだあります、作るリングの素材なども決めて、それで検査の内容も代わってきますので、こちらでお待ちください、着替えの手伝いでしたら私共がしますので・・」
「あ、では、このアレン・マリーを」
「アレン・マリー殿も、『予備の鍵』になられるのでしたら、こちらでお話しをお聞きください」
 でも、ユウキもアレン・マリーさんもやる事があるみたいで、結局俺はリィンさんとケント君の後について、一人で隣の部屋に入った。



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2008.05.25(14:21)|LOVE RINGコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 約束を破って、その純粋な心を傷つけてしまった自分を、きっと順也は許してくれない。
 順也に嫌われてこれからどう生きていけばいいのだろう?
 結局、付き合って一ヶ月で振られてしまう事になってしまった。
 元々、俺なんかが手に入れていい存在じゃ無かったんだから、一月だけでも幸運だったと思うべきなんだろうか?
 一ヶ月の思い出だけを糧にして、これからの人生を生きていくしかないんだろうか?
 駄目だっ、そんな事態には絶対に耐えられない!
 順也をギュッと抱き締めることも、微笑みあう事も出来ない。
 「西原ぁ」とあの舌足らずな甘えた声で呼んで貰える事も無い。
 一度その甘く愛しい温もりを知ってしまった後で、それは死ぬより辛いまさに生き地獄だった。
 でも、嫌でも、ならどうすればいいんだろう?
 しつこく順也に謝って、許して貰えるまで付き纏えばいいんだろうか?
 でも、順也を傷つけて、まだ幸せになろうなんて虫が良すぎるんじゃないか?
 それに俺のしてしまった事は、謝って許して貰える様なことなのだろうか?

 約束を破った→許してもらえない→順也に嫌われる→この先どうやって生きていこう?→そんなの無理だ、謝ろう→でもなんて言えば?→きっと許して貰えない→だって約束を破った(始めに戻る)
 台所の床で頭を抱えて、完成した出口の無い無限ループの中でグルグルと悩んでいたら、
「可哀想だと思って優しくしていれば何時までもウジウジとっ!こうなっちゃったものは仕方がないでしょうっ!もう我慢の限界よっ!はっきり言うわっ、悪いのは全っっ部優希君よっ!自分の悲しい過去に酔いしれて、事もあろうに順也ちゃんとの約束を破るなんて最っ低だわ!!これだからマゾの男は嫌なのよっ!!簡単に許して貰えなくて当然なんだから、許してもらえるまでエンドレスで土下座してらっしゃい!」
 もう我慢出来ない言った桜子にそう怒鳴られて、オヤツを一端下ろして空になったお盆の角で、頭をガゴッッと殴られてしまった。

「あの・・順也、起きてる?入ってもいい?」
 約束を破ってしまった事をとりあえずは謝ろう。
 桜子にお盆の角で殴られた衝撃で、取りあえず無限ループのマイナス思考からの脱出に成功した西原は、順也の部屋の前に立ち、小さく襖を開けて、部屋の中に声を掛けた。
 順也との約束を破り順也の心を傷つけてしまったのは事実なのだから、まずはその事を謝るのが当然だろう。
 心の底から謝って、それで許して貰えるのか貰えないのかは、またその後の話だった。
 とにかく部屋に入ったら桜子の言葉通りに土下座しよう。
 そうして、どうしてああいう場面になってしまったのかを、ちゃんと順を追って順也に聞いて貰おう。
 そう心に決めて、それでも許して貰えなかったら?という恐い想像を無理矢理頭の外に追い払い、西原は順也の返事を待った。
 しかし、声を掛けてしばらく待っても、中から何の返事も無い。
 そろそろ7時になる頃で、夏の空は段々と暮れ始めている。
 でも薄く開けた襖の隙間から覗ける部屋の中には明りは点いていなくって、人の動く気配も感じられなかった。
 やっぱり寝てしまっているのだろうか?
 確かに入院から帰ったばかりで疲れている筈だし、それなら無理に起しまっては可哀想だと思う。

「はぁ・・・」
 順也が寝ている事を知り、西原は思わず緊張していた肩の力を抜いた。
 これで、少しだけ順也に「嘘吐きっ」と罵られるのを後に延ばす事が出来た。
 自分のしでかしてしまった大失敗を順也に謝る事は決して嫌ではないし、一刻も早くそうしなければいけない事も重々分っている。
 だけれど、順也に面と向って嫌われる自分を想像すると、悲しくて恐ろしいのだから仕方ない。
 取りあえず今は母屋に帰ろうと思い、西原は開けた襖をそっと閉めた。
 しかし、踵を返そうとしてハタと思いつく。
 そう言えば、怒った三都葉に病院を追い出されて以来、もう丸2日も順也の姿を生で見ていない。
 はっきり言って西原は順也中毒なので、出来る事なら四六時中でも順也の姿を見ていたい。
 何かの理由で、例えば冠婚葬祭的などうしようもない理由でどちらかが出掛け、丸一日とかその姿を見れないと、かなり本気でイライラとしてきてしまう。
 それが、今回は丸2日なのだから、そろそろ中毒症状が出て大暴してまいそうだ。
 寝てても良いからせめて愛らしい寝顔だけでも見ておこう。
 そう思い、もう一度襖に手を掛けた西原は出来るだけそっとそれを開いた。
 寝ているのなら嫌われる事もないだろうし、もしかしたらこっそりあの柔らかい髪の毛に触れたり出来るかもしれない。
 ちょっとくらいなら柔らかい頬っぺたにチュウしてもいいだろうか?
 そんな寝込みを襲う的な卑怯な事を考えて、不埒にも西原は胸がドキドキとしてしまう。
「いやいやっ、チュウなんて絶対しないからねっ、本当に顔を見るだけだからちょっとだけ入るよ?」
 しかしそんな卑怯は言語道断。
 触るのもチュウも仲直りしてからだと思い直し、そう小声で誰も聞いていない言い訳をしながら忍び込んだ部屋の中に、順也の姿は何処にも無かった。



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2008.05.25(10:40)|hanging gardensコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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