西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
―――うーーーん・・・フランスの政府関係者?
 この愉快な言葉が分らないとは言え、何でこんな人達に騙されるのか。
 正座していた床から刀を持って立ち上がりながら、西原は騙された張本人の鷹也とそれを後押ししたらしい、取り巻きの師範という人達を信じられない気持ちで見詰めた。
 3人とも一応スーツらしきものを着ているけれど、安物だと一目で分ってサイズも微妙に合ってない し、態度も落ち着きが無く品性のカケラも無い。
 おまけに話すフランス語も崩れすぎていて、何を言っているのか所々分らないところがあった。
 断言してもいい。
 こんなフランス政府関係者はいないと西原でもわかる。
 こんな人間の言う事を信用してしまうなんて、本当に鷹也や取り巻きが馬鹿なのか?
 それとも桜子の言うとおりに、海外進出という華々しい話に目が眩んでの事なのか?
 これまでも騙された人達がいるという事は、もしかしたら後者なのかもしれないけれど、いくら何でも不注意過ぎだろう。
「アメリカの80歳の富豪のばぁさんが若い恋人を探しえたっぺぇ、ぴったりだぁ〜」
「いやぁーーーーんっ!可愛そうぅぅ、代わりに私が買ってあげたぁーーーーいっっ!」
「うひゃひゃひゃ・・・いくらすると思ってんだぁ、絶対に無理だっぺさぁ〜、」
「兄貴っ!立ち上がりましたよっ、始まるみたいっすよっ」
「だから、一々説明しなくってもわかるっぺぇ〜」

 誰がいくらで売られて、80歳のおばあさんの恋人になるって?
 まさか、西原が総てを理解しているとは思っていないのだろう。
 気を抜けば指を指して笑いたくなる位に凸凹だけれど、内容はゾッとする位に物騒な会話を聞いて、西原はこの場で皆にそれを知らせたい衝動に駆られる。
 麻薬も人身売買も桜子が聞いたことは総て本当で、こんな奴等はさっさと警察にでも突き出してしまうのが正解なのだろう。
 だけれど、今日は順也とこの家の為に、とにかく穏便に総てを済ませるという目的があるので、西原は感じる後ろめたさを無理矢理に飲み込んだ。
「我々は今日の事を大変たのしみにしていました、西原君、どうぞよろしくお願いします」
 何で自分の国の言葉はハチャメチャなのに、日本語の方はそんなに丁寧で流暢なんだ?
 通訳役の一番若い男にそう言われて、西原は憤っている気分にも関わらず、そのギャップにまた噴出してしまいたくなる。
 それを無理やりに浮かべた引き攣った笑顔に押し込めて、
「きゃぁぁーーー笑った!か〜わ〜い〜いぃ〜っ!」 
「兄貴ぃっ!これで上手くいけば、俺達、始めてのお手柄ですぜっ!」
「これで親分に叱られなくて済むっぺぇ〜」

 腹だたしい位に落ち着かない外国人たちの前でもう一度一礼し、腰溜めに構えた模造刀を鞘から抜き放った。


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2008.05.03(19:52)|hanging gardensコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
「何が入っているんだっ?」
 鳴き声に続いてガリガリとバスケットを引っ掻く音が聞こえる。
 ドキドキして俺が手を伸ばすと、
「まだ駄目ですよっ」
 アレン・マリーさんは、サッとバスケットを引っ込めてしまう。
「んん〜〜っ、見たいぞっ!」
「ユウキ様のお話が終わるまではお預けですっ」
「ユウキィ?」
 俺がいくらお願いしても、ユウキと違ってアレン・マリーさんは駄目という事は絶対に駄目なままだ。
 なので、アレン・マリーさんに頼むのは諦めて、ユウキの顔を見ると、ユウキは困った様に俺とアレヌ・マリーさんの顔を交互に見比べる。
「アレン・・・いいから渡してあげて、説明はちゃんとしておくから」
 そして、しばらく考えた後にユウキが控えめな声でそう言うと、
「はぁぁ・・・・商談も時ほど狡猾になれとは言いませんけれど、もう少し駆け引きできませんか?」
 大きなため息をついたアレン・マリーさんは上を見て、何も無い天井をグルッと見回した。

「ニャーーーッ、ニャーーーッ」
 間違って渋いブドウを食べたみたいな顔のアレン・マリーさんからバスケットを受け取り、ベッドの上に置いて中を覗くと、そこには一匹の子猫が入っていた。
 艶々の真っ白な毛並み、真っ青な吸い込まれそうな瞳、長くてフサフサの毛が生えたシッポ。
 動くぬいぐるみみたいな愛らしい姿が、フカフカの毛布に包まれて、後ろ足で立ち上がろうとバスケットを前足で引っ掻いている。
「あっ!猫だっ」
 ユウキのお土産は猫だった。
 俺が喜んで声を上げると、
「違うよ、ジュンヤ、この子は猫じゃないんだよ」
 俺にパジャマを着せてくれたユウキが手を伸ばして、猫・・・じゃないらしいそれをバスケットから取り出して、「判らない?」と言いながらベッドの上に置いてくれる。
 すると、子猫の割には立派な足とガッシリとした身体が良く見える様になって、
「ベリーブルー!」
 俺は、そこから思い出した名前を大声で叫んでしまった。


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2008.05.03(09:34)|LOVE RINGコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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