西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
「三都葉先輩、ここの訳なんですけど、俺、何か違ってますか?」
「ちょっと見せて・・ああ、翔也、ここはね、細胞内質液の滲出のよるアルカローシスの・・・翔也?」
「ふわぁぁ・・・・っ!わあっ、スミマセンッ」
「はは・・いいよ、ずっと根を詰めていたものな、まだ終わりそうもないし風呂に入ってきたらどうだ?サッパリするぞ」
「え?あっ、スミマセン、俺、汗臭いですか?」
「いや・・むしろ良い匂・・・いやっ、コホンッ、シャワーでも浴びたらスッキリして、いい考えも浮かぶだろう?息抜きだと思って入っておいで」
「はい・・じゃあ、お言葉に甘えてお借りします」
「はいはい、ごゆっくり」
―――ヴヴヴ・・・ヴヴヴ・・・ヴヴヴ・・・
「あ?先輩、携帯が鳴ってますよ」
「ああ、メールだよ・・・・ん?」
「どうしたんですか?急に変な顔して?嫌な奴からなんですか?」
「いや・・・そうじゃないけれ・・・そうとも言う」
「え?どっちです?」
「あははは・・・気にしないでいいから入っておいで」
「うぃーーーす、お先に失礼しまぁす」

「・・・せっかくいい気分でいるのに、未来の義姉様は何の用事ですかね」
―――ピッ・・
 こんばんわ、三都葉先生、桜子です。先日は優希君と順也ちゃんのことで大変お世話になりました。お陰で二人は仲直りして、今晩は優希君のマンションに二人でお泊りです。無事に二人がラブラブに戻れたのも、全部先生がいてえくださったお陰です。順也ちゃんや優希君の入院の面倒も見てくださって、本当に感謝してもしきれませんわ。
「いえいえ、翔也の弟君達ですから・・って、何だか愁傷で気持ち悪いですねぇ」
そんな何かお礼をしなくてはいけないと思って色々考えました。でも、三都葉先生は何でもお持ちでしょうから、特に差し上げて喜ばれそうな物も思いつきません。
「そりゃそうでしょう、私も、あなたが喜びそうな物なんか思いつきませんよ」
でっ、考えた結果、翔也君に手を出したくても『もし嫌われたらっ?』と想像すると出せない、今日もレポートに夢中の翔也君をチラ見して小さな幸せを噛み締めている小心者の先生の為に、
「心底余計なお世話ですっ」
 素敵なプレゼントを用意しました。きっと見るしか出来ないでしょうけれど、心行くまでご堪能くださいねっ!でわ、おやすみなさい・・大野谷桜子
「・・・・素敵なプレゼント・・・何でしょう?何だか物凄くいらない気がしますねぇ」

「ふぁ・・・さっぱりしたぁ、先輩のマンションの風呂は広いし、夜景まで見えていいっすね」
「そうかい?気に入ったら何時でも入りに・・・ぶふぅぅぅ・・っ!」
「わっ!何でコーヒー噴出すんですかっ?」
「ゲホッ・・・だって・・そっ・・そのパジャマ・・・っ」
「ああ、何か順也とお揃いだって桜子がくれたんですよ」
「ゲホッ・・さっ、桜子さんが・・?」
「今日ここに泊まるって言ったらどうしても持って行けって、ピンクのストライプって何考えてんだか・・・やっぱり変ですか?こんなとこにウサギとか付いているし」
「いや・・・っ!もうっ全然変じゃないと思いますよ」
「そうですか?色が今一ですけど、順也とお揃いっていうのがいいんですよねぇ」
「うんうん、本当にいいねぇ・・前髪も下ろして・・」
「恥ずかしいからあんまり見ないで下さい、高校生みたいだってよく兄貴に馬鹿にされるんです」
「高校生、結構!」
「いいわけないすよ、俺、21歳ですよ?」
「そのパジャマ、きっと順也君より似合っているよ」
「はぁ?それは絶対にないです」
「そうしているとあどけない天使のようだ」
「あははっ、何の冗談ですか?それ?」
「ああっ、笑った!物凄くいいっっ!!」
「えっ!?あの、さっきから何言ってるんですか?先輩」
「いらないなんて言ってすみませんでしたっ」
「先輩?ちょっと、先輩っ?」
「お礼、確かに受け取りましたぁっ、義姉さんっ!」
「わぁっ!言ってる事も顔も物凄く変ですよっ!?しっかりしてくださいっ!つぅか、何で泣きながら抱きつくんですかぁぁ!!」


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2008.06.19(23:42)|小劇場コメント(1)トラックバック(0)TOP↑
息抜き・・・仲直りした夜の二人

「え・・と、これとこれとこれを寝る前に一個」
「んん?西原、薬か?3っつも飲むのか?」
「うん、えーとね、胃薬と、痛み止めと、抗生物質だって三都葉先生が言ってたよ」
「ふーん、よく覚えてるな・・じゃあ、全部俺にかしてくれよなっ」
「えっ?何で?俺の胃の薬だよ?順也、もしかしてお腹が痛いのっ?」
「違うぞっ!俺が薬を飲むときは西原が『うつしくち』で飲ませてくれるから、俺も西原に『うちつくし』で飲ませてやるんだぞっ!」
「ええ!いいよ、自分で飲めるからっ!あと、それを言うなら『口移し』だよ、順也」
「んんっ!『口移し』で飲ませてるぞっ」
「そんな・・3つもあるし順也が大変だよ」
「1個ずつにするから大丈夫だぞっ!いいから、薬と水をかしてくれよなっ!」
「はいはい・・、じゃあお願いするけど、苦いといけないから噛み砕かなくていいからね?」
「んっ!わかったぞ、じゃあいくぞっ!まずは胃薬からっ」
「それは痛み止めだよ・・」

―――パクッ
 ―――グビッ
  ―――ゴクンッッ

「・・・あれ?」
「わぁっ!!!!のっ飲んじゃったのっ!?」


「もしもしっ!もしもしっ!もしもしっっ!!三都葉先生っ!」
「はい・・『もしもし』は一回でいいよ優希君、こんな夜中にどうしたの?具合が悪いの?」
「違いますっ!順也が『口移し』に3回連続で失敗して俺の薬を全部飲みましたっ!このままでいて、お腹は壊さないですかっ!?副作用で死んだりませんかぁっ!?!」
「・・・・・・はぁ・・死にはしなし何も起きないけどね・・・君達は一体何をアホな事をしているんだ?」



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2008.06.17(00:11)|小劇場コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
「西原ぁ・・・今日はケーキ多かったな」
 イヴの夜。
 鳳家で家族揃ってのクリスマスパーティーが終わって、なにくれと理由を付けて帰って
きた西原のマンションで、ベッドの上にゴロリと横になった順也は辛そうに言った。
 辛そうな原因はパーティーでのケーキの食べ過ぎだ。
「そうだね・・・7人のパーティーでホールのケーキが6つは多いよね・・」
 部屋着に着替えた順也が脱ぎ散らかした服を片付けながらそう答た西原は、テーブルの半分がケーキに覆いつくされたパーティーのテーブルを思い出して思わず苦笑してしまった。

 今日のパーティーの顔ぶれは鳳家の5人に合わせて、西原と、後もう一人長男智也の婚約者の桜子。
 その7人に対して、集まったケーキの数は6つで明らかにバランスが可笑しい。
 どうしてそんな事が起きたかと言うと、理由は単純。
一週間ほど前のやはり全員が揃っているお茶の時間に、『クリスマスケーキ楽しみだよなぁ』と順也が言った事だった。
 その時もおやつにチーズケーキを食べていたけれど、有名な洋菓子店の限定品と言いながら桜子が持って来たそれが美味しくて、クリスマスのケーキにも夢が膨らんだらしい。
 瞳をキラキラと輝かせて、ウットリとした顔をしながら『クリスマスはどんなケーキになるのかなぁ』と言う順也の夢を、その場にいる順也に対して甘い全員が叶えてあげたいと思ったのだった。

 ケーキは家で焼いて準備するから買う必要はない。
 一応、当初の取り決めはそうなっていたのだが、順也も楽しみにしている事だしもう一つ位あってもいいだろうと思い、西原はマンションで一度作ってみたかった『ブッシュドノエル』に挑戦してそれを当日持っていった。
 自分でも会心の出来のそれを順也に『凄いなぁ』と褒めて貰い大満足したのだが、順也に喜んで欲しかったのは自分だけでは無かったようで、その後も鳳家には誰かが帰って来るたびにケーキが持ち込まれた。
 全員が『順也が喜ぶなら自分くらいはいいだろう』と思っての事だったが、結局、夕飯代わりのパーティーでは、西原も手伝って朝から作ったクリスマス用の料理が並んだテーブル意外に、ケーキの為のテーブルがもう一つ並ぶ事になってしまった。
 その6っつのケーキを、『ケーキ屋みたいだなっ』と大喜びした順也は果敢にモリモリ食べ続け、半分程を残した時点でパーティーは終了したのだった。

 「色々食べれて美味しかった〜」と満足した様子の順也に他の皆も満足そうで、今も苦しそうながらも「また明日残りを食べよう」と果敢な事を楽しそうに言っている。
 「沢山あるんだから優希君ももっと食べなさい」と順也の父の史也に勧められて断れず、西原も許容量以上の糖分を取らされてかなり困ってしまったが、甘いもの大好きな順也にとっては良いクリスマスだったようだった。
「内緒だけどな・・オマエの作ったケーキが一番美味しかったぞ」
 食べ過ぎたせいなのか何なのか、身体がケーキになったように甘い匂いを漂わせている順也に抱きつかれてそう言って貰い、スタンドプレーでいらないケーキを作ってしまった西原も一安心するのだった。


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2007.12.24(13:38)|小劇場コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
《おまけ》が妙に長くなったので独立させてみました。
読むときの注意・・西原がバカです
 



結局、着替えないで寝ちゃったな・・・
 やっと涙も収まって、それでも名残惜しくて順也の手を離さないでいた西原だったが、冷静になってくると急に順也の服装が気になってくる。
 昼間に外出したままの格好で、いかにも寝苦しそうだった。
 ベッドに寝そべる順也は、最近、もう直ぐ義姉になる智也の婚約者の桜子が見立ているせいで、随分と洒落ていて高価そうな服を身につけていた。
 異様に似合うピンクが基調の優しい色をしたチェックのウェスタンシャツと、凝ったデザインのスリムジーンズ。
 その細すぎるジーンズをスタイルの良い順也は難なく着こなしていたが、しかしシャツの裾から覗く腰のラインが余りにも扇情的すぎる気がして西原は一日中気が気では無かった。
 「西原が綺麗だからみんなこっち見てるなっ」と順也は終始ご機嫌だったが、そのうちの何割かは絶対に順也の腰を見ていたと西原は確信している。
 一人などは舐めるように見た上に、下品な口まで吹いたので本気で殴ってやろうかと思った程だった。 
『これは自分だけのモノなのにっ』と外出の間中ストレスで一杯だった反動が、無防備に眠る恋人を前にして頭をもたげる。
 うつ伏せのままいかにもグッスリと眠っている様子の順也は、いつも過敏に反応するうなじを指先で撫でてもピクリとも動かない。
―――着っせ替えっっ、着っせ替えっっ、着っせ替えっっ、
 何時しか何処からとも無く湧き上がった『着せ替えコール』が頭の中にエンドレスで流れ出す。
「このままじゃ絶対に寝苦しいよね・・」
 自分に言い聞かせるように声に出した西原は、握っていた順也の手を離して立ち上がると、壁のクローゼットに向けて歩き出した。

「さて・・・」
 数分後・・・考えた末に自分が選んできたパジャマを見つめて、西原は思わず頬がゆるんでしまう。
 選んできたのは、順也のお泊り用パジャマではなく自分用のパジャマ。
 その上着を持って広げて、眠る順也と交互に見比べる。
 そして、恋人の綺麗な顔が大好きな順也が見たら「ん〜!」と怒り出しそうな、せっかくの隙の無い美貌が台無しの締まりの無い顔でヘラッと笑うと、
「パジャマ・・・半分こしてみる?」
 と、やはり締まりの無い声で聞いる筈のない順也に問いかけた。

 順也が上だけで、自分が下だけで、恋人が出来たら誰もが憧れる究極のペアルック。
 順也のブカブカの上着だけの寝姿を想像すると、西原は思わず心拍数が上がってしまう。
「寒くないし上着だけでも平気だよね?・・・『ん〜、大丈夫だぞ、西原ぁ』・・・そう?じゃあちょっとごめんね」
 似てないアテレコをして勝手な許可を得た西原は、うつ伏せに眠る順也の肩に手をかけてそっと身体を表替えした。
「うぅ・・・ん」
 すると、コロンと転がった順也は小さく身じろぐけれど、また直ぐにスースーと安らかな寝息を立て始める。
 ほんのり桃色の可愛いホッペタをツンツンつついて、すっかり眠入っている事を確認した西原は、シャツのボタンに手を伸ばした。 
「じゃあ、着替えようね・・・あっでも、その前に」 
 その生真面目な性格を現すように、一番上までしっかり止まっているボタンの一番上を外そうとして、何かを思いついたように手を止め立ち上がる。
 そしてさっさとジーンズを脱いでまずは自分がペアルックの片割れのズボンを履いた。
 その意味はと聞かれれば何もないが、しいて言えば何だかじっとしてられないからだった。
 しかし、実はただの挙動不審者になっているだけな事を本人は気付いていないらしい。 
「よしっ」
 意味不明の掛け声とともに西原はベッドの脇に跪き、 そして再び眠る順也のシャツのボタンに手を伸ばした。
 今まで、強請られたキスの度に幾度と無く外したボタンだったが、今日は何時も以上にドキドキする。
―――いや、本当に着替えさせるだけだしっ
 妙に興奮している自分に言い訳をしながら、順々にボタンを外していく。
 しかし、外しきったボタンの下から現れた、着たままでも絶対に寝苦しくなさそうなタンクトップを、『どう脱がそうか?』と悩んだ時点で、既に『ただ着替えさせているだけ』失格だった。

 脱がせたシャツの下から現れたタンクトップも妙に高価そうで、見た目は真っ白のシンプルなデザインなのだが、余り見た事の無いよう酷く軟らかく薄い肌触りの良い生地で出来ている。
 それが眠っている順也の胸にしんなりと張り付いて、薄く付いている綺麗な筋肉や、今は目立たない筈の小さな胸の突起までもが妙にリアルに浮かんで見えた。
―――今度、桜子さんに何処で買ったか聞いてみよう
 これまで、服装にお金を掛けることにまったく興味のなかった西原だったが、いきなりそう思い直す程に、タンクトップ姿の順也は艶かしい。
 何だか脱がせてしまうのが勿体無いから、このまましばらく眺めてようか・・・
 華奢な白い腕を投げ出し、薄いタンクトップとジーンズでベッドに横たわる眼福としか言いようのない恋人の姿を前に、西原は『寝やすいように着替えさせる』という最大の大義名分のさえ失念しそうになる。
 あの最初の夜から、順也は二人きりになると簡単にキスやらキスの先やらを強請て来るようになったけれど、決して一線を越える事が来ない西原にとっては、毎日が嬉しいけれど地獄のような日々だった。
 『西原はまだ満足していないっ』と頑なに思い込んでいる節のある順也としては、気を利かせてくれているつもりらしいが、利かされる方は(特に身体の一部が)落ち着かないことこの上ない。
 これまで長い間、順也を見る度に自分の片思いの辛さだけが先に立っていて、見たくても落ち着いてその姿を眺める事が出来なかった。
 何も出来ないなら出来ないでかまわなから、可愛くて時に色っぽい恋人をゆっくりと眺めていたいというのが、贅沢と言われてしまえばそれまでの西原の本音なのだった。 

 想像したスラリと綺麗な足を裾から除かせている半分パジャマの順也もいいけれど、今目の前のタンクトップ姿の順也も捨てがたい。
「寝苦しいの、少しだけ我慢しててね」
 望んだ本音そのままに可愛く色っぽい恋人の姿に欲を出した西原は、着替えさせる手を一旦止めてと、無心に眠る目の前の順也にしみじみと魅入るのだった。
―――ああ・・・順也は本当に可愛いな〜
 床に座って上半身だけベッドにうつ伏せて、同じ目線でその姿を眺める。
 無心に眠るあどけない顔と、タンクトップから覗く腕とわきの下が一度に見えてもうこの世の絶景とかしえない眺めに、「もう少し・・もう少し・・」と何時までもその場所から動けない。
 そしてうっとりと幸せな気分のまま、西原は何時しかウトウトとしてしまっていた様だった。

 パサ・・・
 どれくらい時間が経ったのか、何かが背中に掛けられるのを感じて目を覚ますと、目の前に寝ぼけた顔の順也が座っていた。
 今にも眠ってしまいそうな無理に半分だけ開けた目と目が合って、その途端にホワッと笑った順也に、
「パジャマぁ・・・半分しか着てなかったぞ」
 と言われる。
「え?」
 慌てて身体を起こすと自分の肩には順也に着せようと楽しみにしていたペアルックの片割れパジャマが掛けてあり、順也はと言うと自分で引っ張り出してきたらしい『自分のパジャマ』にちゃんと着替えていた。
「え・・・あれ?」
「オマエもぉ・・ちゃんと着替えて寝ろよぉ・・・」
 一瞬何が起きた分からずに思わずキョロキョロしている西原を置いて、そういい残した順也はまたパタリとベッドの上に倒れてしまい、すぐにスウスウと規則正しい寝息を立て始めたのだった。
「あれ?・・・あれれ?」
 着せ替えは・・・?ペアルックは・・・?パジャマ半分こは・・・?
 タンクトップから伸びた二の腕に夢中になる余り、ペアルックと生足を見逃した。
 思わぬ展開に心が焦るが、ベッドで眠る順也は生真面目な性格そのままに、パジャマをキッチリ身につけてつけ入る一部の隙もない。
 もちろん今更着替えさせる必要も、二人で魅惑のペアルックをする必要も、まったくなく、一切、金輪際、無くなっていた。
 現実を受け入れられず、しばらく肩を落としてぼんやりとしていた西原だったが、やがて立ち上がると壁のクローゼットを開けてタオルケットを取り出した。
 それを広げてそっと眠る順也に掛けると、自分はそのままベッドの脇に膝を抱えて座り込むのだった。
 そして一体自分の何がいけなかったのかを脳内で激しく反省し始める。
―――二兎を追うものは一兎を得ず
 余りにも分かりやすい諺が浮かんで、見事にそれを踏襲してしまった自分の間抜けさ加減に打ちのめされてまた泣きそうになってしまう。
「だって・・・順也の生腕か生足かどっちかなんて選べないじゃないか・・・でも・・やっぱり足・・・いやっ腕?」
 タオルケットに包まり幸せそうに眠る順也の隣で、西原の一人反省会は深夜まで続くのだった。

・・・終


ふう・・・楽しかった・・・自分が(笑)


順 「そんなにしたいのか?」
西 「え?」
順 「パジャマ半分こ」
西 「うっ・・・うん、まあ・・・したい」
順 「そんなの何時でも大丈夫だから早く言ってくれよなっ、はい・・これ半分」
西 「・・・・こっちが上だけど?」
順 「ん〜?ホントだ、でも俺が下だけでもいいだろ?」
西 「ええええっ!」

      
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2007.11.15(19:54)|小劇場コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
本編が煮詰まっています。
なので、リハビリ・・・リハビリ・・・



 練成大会から3日目の午後3時の鳳家茶の間。
「西原ぁ、この水羊羹美味しいな」
「さっき、桜子さんが持ってきてくれたんだよ、銀座の料亭の板前さんが作ったんだって」
「ふ〜ん、何か分かんないけど桜子姉さんのくれるオヤツは何時も美味しいよな」
「そうだね〜、順也が喜ぶから毎回趣向が凝らしてあるね」
「しゅこう・・って何だ?」
「色々考えてくれてるって事だよ・・・もう食べちゃったの?俺のも食べる?」
「ん〜、麦茶もおかわり」
「はいはい」
「だから・・・そうやって甘やかすなって言ってるだろ・・優希、今から切るか?」

 やっと夜に微熱が出る以外は問題が無い程に回復した順也が、西原と二人で智也の婚約者の桜子が差し入れてくれた水羊羹に舌鼓を打っていると、入ってきた智也が呆れた声でそう言った。
「あっ、ありがとうございます、直ぐ行きます」
「服脱いで・・風呂場でいいよな」
「はい、忙しいのにすみません、もうホントに適当でいいですから」
 頭の上で、自分を置いて会話を進める二人。
 話の内容が掴めなくて順也は、その可愛い顔を「ん?」と傾けた。

「あのね、今からね髪を切って貰うんだよ、智也さん上手だから」
「オマエが甘えて離れないから切にいけないんだぞ・・・でも長いのも似合うのにもったいないな、ホントにいいのか?」
「似合いませんよこんなバサバサした髪型、もう邪魔で仕方ないんです」
 合点がいかない様子を見て、兄と恋人は口々に説明してくれる。
 しかし見えた話の内容に、順也はその愛らしくも凛々しい眉をムウゥと顰めたのだった。

「何で切っちゃうんだ?西原」
「え?」
「何で切るのっ?智也兄さん」
「いやっ」
 持ってたフォークをお皿の上に放り出して、順也はと責めるようにキッと大きな目で二人を交互に睨む。
 思いもしていなかったいきなりの剣幕に、二人は一瞬目を見交わした。
「え・・?何でって、え〜と邪魔だからだよ、これじゃあ面を被るのに手ぬぐいも巻きにくいし・・邪魔・・ですよね?」
 最愛の恋人に睨まれて、オロオロと同意を求めて西原は智也を見る。
「まあ、翔也なんかもっと長かった事もあったから手ぬぐいは巻けるけど・・順也、切ると何か問題があるのか?」
 俺に振られても困るぞっと西原から視線を逸らし、弟の意見を探る智也。
「えっ?問題ってなんですか?」
「俺に聞いてどうする、順也に聞いてくれ、で、何なんだ?順也」
「ん〜〜っ!!西原は長い方が似合うんだから、絶対に切っちゃ駄目だからなっ」
 会話もまともに成立しない程しどろもどろになった二人をもう一度順番に睨んだ順也は、ビシッとそう言い放った。
 
 プンッと頬をらませた順也は、再び水羊羹を口に運び始める。
 長く寝付いて皆からちやほやされていた後なので、すっかり内弁慶な威張りん坊振りがパワーアップしていた。
 しかし心底順也に甘い二人は怒ることも無く、部屋の隅に移動して小声で打開策を話し合い始める。
「もう今日は諦めろ、いいじゃなないか似合ってるし・・・少なくとも俺は切ってやれないぞ」
「そんな・・・目に掛かって邪魔なんですよ、せめて前髪だけでも」
「う〜ん、いっても俺は素人だからな、何時もの髪型以外は切れないしな〜」
「じゃあ、前髪だけ何時もので」
「多分・・・物凄く変だろう?」
 智也の何時ものは前髪を真っ直ぐに切るだけだった。
 仕上がりが長いか短いかはあるが、もうすぐ肩にも触れそうな程に伸びてしまった西原の今の髪にそれがマッチするかといえば、かなり微妙だ。
「どこぞのコメディアンみたいにならないか?」
 西原の額に手を伸ばした指を当てて智也が仕上がりをシュミレーションしてみていると・・・
「西原ぁっ、麦茶はっ?」
 今にも爆発しそうな順也の可愛い声がして、ビクッと肩をすくめた二人は結局その日の散髪を諦めたのだった。


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2007.10.31(19:36)|小劇場コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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