西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
 魔王と双子が地上へやって来て3ヶ月が過ぎて、アルディア国には春が訪れていた。
 ついこの間まであんなに寒かったのが嘘の様に、空からは暖かな日差しが降り注ぎ、森には新緑が芽吹き、農業国のアルディア国の国土は植えられた作物の緑で覆われた。
 相変わらず魔界からの帰還の要請は無いので、魔王と双子達はアルディア王城に住み込んでいて、
「今日も国境見回りにっ」
「張り切って行って来ますっ」
 魔王達は、人手不足のアルディア王国を助ける為に、国境の見回りに勤しんでいた。
「いっせえのっ」
「はあ、どっこいしょっ」
「ジジ臭い掛け声を出してないでサッサと飛べっ!!」
 しかし、この頃の魔王達は少々お疲れ気味だったりする。
 理由は気候が良くなってきたので、基本的にジメジメ、シトシト、薄暗いが性に合う魔王達には、明る過ぎて辛い季節になったからだった。

 ホームグランドの薄暗い魔界でなら不眠不休で何日でも働けるけれど、お日様サンサンのアウウェーの地上では単に空を飛ぶだけでも気力がいる。
 そんな苦手な環境の中で、今日も魔王達がグルグルと国境線を警備して飛び回り、そしてヘロヘロになって夜の王城へと帰還した。
 空から舞い降りる魔王達の玄関になっている王城のベランダへ舞い降りる・・・
―――バササ・・・ボトンッ
「はううう、疲れたよぉぉぉぉ」
―――バササ・・・ボトンッ
「うううう、もう1メーターも飛べません」
 というか墜落した魔王達には、もう立ち上がる気力も残っていない。
 しかし、そんな限界ギリギリまで疲れ切ていて、下手をすると死相が見え隠れする魔王達だけれど、
―――バタンッッ
「ユウキィ、お帰りなさいっ!!!」
「ケントも、お帰りなさいっ!!!」
 ベランダへ通じる大きなガラスのトビラが開いて、そこから婚約者の双子達が飛び出してくると、
「はは、ただ今、順也っ」
「うん、ただ今、翼っ」
 いきなりシャンと元気になるのだった。

 地上へ来て3ヶ月。
 魔王達は婿として人手不足のお城のお手伝い、双子は母親のお后様と一緒に花嫁修業とお互い忙しいけれど、でもやっぱりラブラブ仲良しの婚約者同士だった。
 あと一月程で14歳の誕生日を迎える双子は、只でさえ愛らしかった容姿が、ちょっとだけ大人っぽくなってそこに色っぽさが加味されて、もう正に本物の妖精か天使の様だった。
 抱きついて着た双子を、魔王達はそれぞれ大切そうに抱き上げた。
 腕の中、ジッと見上げて来るクリクリ大きなハシバミの瞳、母親のお后様が『花嫁衣裳を着るなら伸ばさなきゃダメよ』と言ってくれたので、すこしだけ長くなったフワフワネコっ毛の薄茶色の髪、ちょっぴり背が伸びた細くしなやかな肢体、どれだけお日様の下で遊んでもやっぱり真っ白なスベスベの肌。
「ただ今、順也、ずいぶん薄着だね、どうしたの?」
「んんっ、お風呂から上がったら、ユウキ達が帰ってきたから、慌てて出てきたぞっ」
「お出迎えは嬉しいけれど、湯上りにそんな格好で外に出たら風邪を引いちゃうよ、翼」
「ケントが抱っこしていてくれたら、暖かいから平気だよっ」
 今日の双子は真っ白い華奢な手足と、更に真っ白い胸元も露な、湯上りの下着姿だ。
 しかも、湯上りでほんのり全身がピンク色で、更に入浴剤の甘い香りが全身からホンワカ匂ってきて、
「はう、もぉぉぉぉ、仕方がないなぁぁぁぁ」
「ダメだよぉぉぉぉ、早く何か着なきゃぁぁぁぁ」
 2人を抱き上げた魔王達はほんのコンマ数秒で、声も態度も表情も蕩けてしまいそうな位に、メロメロの骨抜きクラゲ状物質になってしまう。
 ここが魔界の魔王のお城なら、魔王達は間違いなくそのままそれそれの婚約者を寝室へ連れて行き、激しく、だけれど優しく大切な婚約者を愛し倒すところだろう。
 だけれど、今居るのはアルディア王城の中なので、
「まあまあ、順也ちゃん、翼ちゃん、もう直ぐ花嫁さんになる子が、下着で走り回ったらいけませんよっ」
「順也様、上着をお召しください」
「翼様、ズボンをお履きください」
 直ぐにお后様と侍女たちが追いかけて来て、二人にパパっと服を着せてしまうので、そういう訳にもいかなかった。
「さあさあ、髪の毛を乾かしてしまいましょう、ちゃんと身嗜みを整えて、お婿さんへのご挨拶はそれからにしなさい」
「はぁぁぁい、また後でな、ユウキィ」
「はぁぁぁい、また後でね、ケントォ」
 しかも、花嫁修業を兼ねてお行儀にはちょっと厳しいお后様が、さっさと双子を連れて奥へ戻ってしまったりする。

 家族の目があるので、地上に来てからの魔王達は・・・
 周囲に家族の目があるので、キスはホッペにチュウまでで自主規制。
 当然寝室は別々で、エッチなんてもってのほか。
 それどころか、国境の見回りが忙しくて、滅多に双子と一緒にもいられなかったりする。
 だけれど、家族に囲まれて幸せそうな、しかも魔界に居るときより確実にいきいきと健康そうな順也と翼の姿を見れて、
「うん、また後でね、順也」
「良く髪を乾かすんだよ、翼」
「ユウキさんとケントさんも一日ご苦労様、2人ともお風呂に入ってゆっくりなさってね、後で皆が揃ったら美味しいお茶を煎れますからね」
「「はいっ、ありがとうございます、お義母さんっ」」
 自分達も双子の家族の役に立てて、
「ああ・・出来ればこのまま一生ここに居たいよね、ケント魔王」
「そうですねぇ・・、もう魔王は辞めて、この家の子になっちゃいたいですよねぇ、ユウキ魔王」
「16歳まで待てば、順也とエッチも出来るし・・・ねえ?」
「16歳まで待てば、翼ともエッチも出来ますから・・・ねえ?」
 エッチは出来なくても今までになく満たされた気分の魔王達は、もう魔界へは帰らずにこのまま地上で暮らしたいと、かなり真剣に考えてしまうのだった。


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2009.11.06(00:00)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 王宮が人で不足に悩む原因は、13年前にあった。
 13年前・・・
 222代国王夫妻のもとに22の月の22日に生まれた、二つの性を持つ双子の王子を、
「国が滅びても良いのですか?」
「必ず、恐ろしい災いが国を襲いますぞ」
「国民の幸福を一番にお考えにください」
 アルディア国の賢者達は湖に沈めてしまう事を、国王夫妻に進言した。
 2という数字はアルディア国で古くから信じられている、アルディア教では忌み嫌われる数字だったので、何から何まで2並びの生まれの双子は、必ず国に災いをもたらすだろうと予言したのだ。
 生まれの吉凶はどうであれ、自分達の大切な子供を手放し、しかも命を奪ってしまう様な賢者達の意見に対して、勿論国王夫妻は必死に抵抗を試みた。
 しかし、王位を継いだばかりで歳若かった国王夫妻には、国内で絶大な権力を握っていた賢者達に逆らいきれる力はなく、結局泣く泣くその意見に従うしかなかったのだった。
 その後、歳若い国王は自分達の言いなりだと甘く見た賢者達は、その持っている大きな権力を良い事に、教会の一部の神官達や、国の高官と結託して、国の中で我が儘放題のやりたい放題に振舞い、ついでに自分に都合の良い『予言』も乱発して、国中に迷惑をかけまくったのだった。
 だけれど、月日が流れて、長男と次男の2人の王子が逞しく成長し、やがて国王もただ賢者の横暴の前で手を拱いているばかりではなくなった。
「お父さん、我慢の限界です、もう賢者達の横暴を放ってはおけません」
「そうだぜ、親父、あんなやつら、身包み剥いでが国の外に追い出してやろうぜっ!」
「そうですねぇ、国民の皆さんもお困りの様だし、お気の毒ですけれどそうしましょうか」
 そして、ほんの一年程前、王子達にもそう勧められた国王は、少なからざる武力を行使して、賢者達とその一味を国外へ追い出したのだった。
 迷惑だった神官一派を追い出した結果、国民の王室に対する人気はうなぎの上りに上がり、ついでに遥か昔から国民の中に根付いていた『2』に対する悪い印象も薄くなったのだが、
「兵士も、神官も、高官も半分になってしまいましたねぇ、王城の中が閑散としています」
「仕方ありませんよ、お父さん、こうなる事は分かっていましたから、新しい人材が育つまでは残った者で頑張るしかありません、という訳で翔也、オマエは早速雪かきに行って来い、国民の皆さんがお困りだ」
「うぎゃぁぁぁぁっ、王子なのに雪かきっ、分かっていたけど面倒くせぇぇぇぇっ!!」
 代わりに王城に勤めていた人間の数が半分に減ってしまい、それ以来王城は慢性的な人手不足に悩むことになったのだった。

 魔王と双子が王城に泊まり、人手不足の王城を手伝うようになって一ヶ月・・・
―――バサバサバサ・・・
「西の国境線異常なし、怪しい人影もなしっと・・・」
―――バサバサバサ・・・
「もうすぐ翔也隊長が休んで・・・、いえ、待機している西の国境の砦ですね、報告をしたら、昨日は見回れなかったから南にも行ってみますか?」
今日も今日とて人手不足の王城を手伝う為に、魔王達はバサバサと空を飛びながら、国境線を見回っていた。
 春が近づき、降る雪の量も減って来たので雪かきの手間は無くなったのだが、相変わらず国境の見回りには人手が足りていない。
 山に囲まれたアルディア国の領土はさして大きくはない。
 だけれど太古からそこにあり、王家はどの国よりも裕福なこの国を、国境を接する周囲の国々は、大なり小なり狙っていたので、深く積もっていた雪が消えるこれからは、更に国境の見回りに手が抜けなくなるのだった。
 これまでの一年は、人手の足りないところは桜子が、
「貴方達がいるなら、智也さんとの結婚式の前に、一度お里帰りさせて頂こうかしら?」
 お里帰りもし ないで頑張っていたが、現在は結婚準備の為に実家に帰ってしまっているので、今は代わりの魔王達がその役目を補っている。
―――バサバサバサ・・・
「ユウキ魔王、私達も、何時までもお手伝いを出来るか分からないのに、この後の事が心配ですね」
―――バサバサバサ・・・
「うん、ケント魔王、いくら桜子さんがいても、この人手不足じゃこの後の事が心配だよね」
 だけれど、自分たちが魔界へ帰ってしまった後に、また桜子が1人でこの役目をするのかと想像すると、魔王達はこれからのアルディア国の行く末がかなり不安になってしまうのだった。


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2009.11.05(07:42)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 双子が泣いて嫌がるのを誰も止められず、結局双子は3年間の花嫁修業をせずに、魔王達と魔界に帰る事になった。
「まあ、せっかく家族が揃ったのに直ぐにお別れだなんて残念ですわ、皆さん、本当にそれでよろしいんですの?」
 双子を呼び寄せる為に骨を折った桜子は、かなり残念そうだったけれど、
「はい、13年前に双子を見捨ててしまったのは私達です、2人が魔界に帰りたいのなら、私達のはそれを止める権利はありません、でも、桜子さんのおかげで元気に育った双子の姿を見る事が出来ました、これ以上私達にとって嬉しいことはありません、本当にありがとうございます」
「まあ、お義父様、桜子は智也さんの婚約者として当然のことをしただけですわ、御礼なんて滅相もありませんわ」
「双子ちゃんを湖に沈めてしまったあの日から、私は後悔で胸が潰されそうで涙しない日はありませんでした、だけれど、素敵な婚約者に守られて幸せそうな双子ちゃんの姿を見れて、やっと胸の憂いが取れたのよ、桜子さんのおかげね、本当にありがとう」
「お義母様の元気なお姿を拝見出来て、桜子もとっても嬉しいです」
「無事な双子の姿を見れたおかげで、久しぶりに父や母の晴れ晴れとした笑顔を見ることが出来ました、すべて桜子さんのおかげです、貴方は私なんかにはもったいない最高の奥さんです・・・、あ、すみません、結婚式もまだなのに、奥さんだなんて気が早かったですね」
「まあ、智也さん、桜子の心はもうとっくに智也さんの妻ですわっ」
「悪かったな、桜子、俺はオマエのことをこの国を狙っている性悪魔女で、兄貴は騙されているんだとずーーーーーっと誤解してたぜ、でもオマエは性悪な魔女じゃなくて、単なる乱暴な魔女だったんだな」
「オホホホホホホッ、翔也君っ、誤解が解けたのは嬉しいけれど、まだ何か大きく誤解しているようね、その誤解を早々に解く為に裏庭でゆっくりお話しましょうっ、ちょっとこちらへいらっしゃいっ!!」
「痛ででででででででででででででででっ!!!!ほっぺたを千切れんばかりにつねって
引っ張るなっ、この乱暴者ぉぉぉぉぉ!!!」
 未来の旦那様と、舅、姑、小姑に褒められ感謝されて、最後はニコニコ上機嫌に、双子が魔王と供に魔界へ帰る事を承知してくれた。

 桜子が納得してくれて、魔王達は双子と離れ離れにならないで済む事になった。
 しかし、いくら桜子からお許しから出たとは言え、さっさと帰ってしまうのは薄情な話だったので、
「魔界が平穏で、魔王の仕事の無い間は、順也ともどもお城でお世話になります」
「私も、同じく仕事の無い間は、翼ともどもお城でお世話になります」
「んんっ、ユウキがお世話になるなら、俺もお世話になるぞっ」
「うん、ケントがお世話になるなら、僕もお世話になるよっ」
「まあまあ、そうして貰えると、お母さんとても嬉しいわ」
「ははは、お父さんも、とても嬉しいです」
「智也兄さんも嬉しいよ」
「翔也兄さんも嬉しいぜっ」
 魔王城が反逆者に狙われて、そいつらを追い払う魔王の仕事が入るまでは、魔王2人と双子の一行は、満場一致でアルディア城にお世話になる事になったのだった。

 そして、それから1週間が経ち、2週間が経ち・・・、 魔界からの反逆者出没の知らせも無く、
「んんんっ、ついに完成したぞっ、つっ君、これが伝説の巨大雪ダルマ、其の168号だぞっ」
「うんっ、ついに完成したねっ、じゅん君っ、これが伝説の巨大雪ダルマ、其の168号だねっ、凄くカッコいいねっ、この完成の勢いをそのままに次は其の169号も作っちゃう?」
「んんんっ!当然作っちゃうぞっ!!」
「おいっ、いいかげんにその遊びに飽きろ!!城の庭中その雪ダルマだらけで、異様な光景になってるだあろうがっ、夜見ると半端じゃない怖さなんだぞっ!!」
「んんっ、行くぞ、つっ君、ショウユ兄さんの部屋の前に作るぞっ」
「そうだねっ、じゅん君、ショウユ兄さんの部屋の前に作ろうっ」
「人の話を聞けっっ、そして止めろぉぉぉぉっ!!只でさえでっけえ雪ダルマの林のせいで、部屋の日当たりが悪いんだっ、それからっあれだけ訂正したのにっ、ショウユの呼び方で落ち着くんじゃねぇぇっ!!!」
「まあまあ大きな声を出して兄弟喧嘩?翔也お兄ちゃん、順也ちゃんと翼ちゃんを苛めちゃダメよ、さあさあ雪遊びはそれ位にしてオヤツにしましょうね」
「苛めてねぇっっ、むしろ苛められているのは俺だぁぁぁっ!!!」
 双子達は家族と過ごす地上での生活を楽しんでいて、
「翔也隊長っ、順也の婿ユウキ魔王、今日も国境の見回りに行って来まいりますっ」
「翔也隊長っ、翼の婿ケント魔王、今日も街道の雪かきに行ってまいりますっ」
「おうっ、行ってキビキビ働いて来いっ!!俺はまだオマエ達を弟の婿とは認めてないけれど、働きが良ければ、何時かそのうち認めてやらないでもないかもしれないぞっ、そうすれば、義兄さんと呼ばせてやらないことも無いかもしれない」
「はいっ、ありがとうございますっ!!」
「何だか道のりは険しそうですが、認めて頂けるよう頑張りますっ!!」
「うむっ、いい返事だっ、俺は後方支援として、この暖炉の前で待っているっ、何かあったらドシドシ報告してこいっ」
 魔王達の婿振りもかなり板に着いてきていた。

 そんな感じで、地上での生活はつつがなく進んでいたのだが、しかし、時間が経ち段々と国の事情が分かってくるにつれて、実は平和に見えるアルディア王国が、大きな問題を抱えている事が分かってきた。
 その問題が何かというと、数年前に起きた王室と教会の対立が原因で、
―――ゴカンッ!!!!
「ドシドシ報告してこいじゃなくてっ、オマエも雪かきと見回りに行って来いっ!!!ユウキとケントが手伝ってくれても、まだ人手不足なのは分かっているだろうっ?!」
「痛ぇぇっ!長男横暴っ!!いきなり殴んなよっ!!外はスゲエ寒いんだぜっ、たまには兄貴が見回りに行けよなっ!!」
「ああっ、行ってもいいぞっ、その代わりにオマエが国会で口うるさい村長達の相手をして、その後に大使館で口うるさい隣国大使の相手をして、最後に教会で口うるさい神官達の相手をするのかっ?!代わりたいなら代わってやるっ、あの口の減らないジジイどもの相手をするならっ、青空の下での雪かきの方が100万倍も爽やかでましだぁぁぁっ!!」
 国の中で様々な仕事をしていた僧侶達がごっそり国外に出て行ってしまい、その結果、王子が雪かきをし、国境の見回りをして、更に、国会と、裁判所と、外交も切り盛りしなければならない程、国が深刻な人手不足に落ちいってしまっている事というだった。


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2009.11.03(19:52)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 順也と翼が家族と対面して一週間。
 ユウキ魔王とケント魔王は、まだアルディア王城にいた。
「おっはようございますっ、義父さんっ、義母さんっ、義兄さんっ、今日も良い天気ですねっ」
「同じく、おっはようございますっ、義父さんっ、義母さんっ、義兄さんっ、でも私の良く当たる背中の羽の湿りっ気予報では午後からはまた雪ですっ」
「やっと街道の雪かきが終わったばかりなのにっ、この国は本当に雪が多いですねっ、義父さんっ、義母さんっ、義兄さんっ」
「でもっ、いくら雪が積もっても安心してくださいっ、義父さんっ、義母さんっ、義兄さんっ、また私達が魔法でっ」
「「雪かきしますからっ!!!!!」」
 しかも一週間前とは打って変わって超元気に。
 一週間前は今にも死んでしまいそうに落ち込んでいたのに、2人が必要以上に元気になったその理由は、
「はは、おはようござます、ユウキ君、ケント君、本当にこの時期の我が国の雪には困ったものです、雪かきのお手伝い本当に助かります、国民を代表してお礼を申し上げます」
「「いえっ、そんなの婿として当然ですっ、お義父さんっ」」
「うふふ、おはようございます、ユウキさん、ケントさん、お城のお手伝い本当にありがとう、でもそんなに毎日働かなくてもいいのよ、たまにはお城でゆっくりなさったら?」
「「いえっ、婿だからゆっくりしなくても大丈夫ですっ、お義母さんっ」」
「ユウキとケントが居てくれて本当に助かるよ、悪いけれど今日もまた翔也と一緒に国境の見回りを手伝って貰っていいかな?」
「ちっ、仕方ねえな、今日も俺の部下にしてやるからしっかり働けよっ!!」
「「はいっ、勿論ですっ、智也さんっ、翔也さんっ、婿だからもうグルグル視まわりますっ」」
 順也と翼の家族に2人の婚約者として認めて貰ったのと、
「んんっ、お父さん、お母さん、智也兄さん、ショウ・・ヤ?兄さん、おはようございますっ、今日も魔界には帰らなくていいみたいだから、一日お世話になりますだぞっ」
「お父さん、お母さん、智也兄さん、ショウ・・ヤ?兄さん、おはようございますっ、僕も魔界には帰らなくていいから、今日も一日お世話になるよっ」
「はは、おはようございます、順也、翼、今日も元気そうですね、ここは2人の家なのですから、お世話になるはおかしいですよ」
「うふふ、おはようございます、順也ちゃん、翼ちゃん、今日も一緒にいれて嬉しいわ、今日は2人と何をして過ごそうかしら?」
「おはよう、順也、翼、今日は天気が良いですし、2人がこちらに居るうちにご先祖のお墓参りはいかがですか?お母さん」
「おはよう、順也、翼、って言うかっ、翔也だっ、翔也っ!!!何がそこまで覚えにくいっ?!」
 魔王達が魔界に帰る時には、順也も翼も一緒に魔界に帰ってくれることが決まったからだった。

 元々、順也と翼を両親の元に預けた後は、魔王達は2人で魔界に帰ることになっていた。
 双子がアルディア国法定結婚年齢の16歳になるまで3年間。
 双子と離れるのは非常に不本意だけれど、地上ではまったく歯が立たない凶悪魔女の桜子から、
「オーーーーーホホホホホ、双子ちゃんと円満結婚式を挙げたければ、私にひれ伏しなさいっ、でなければ貴方達の結婚相手は可愛い双子ちゃんではなくて、元の魔界イボイノシシに劇似の双子に戻りりますわよーーー!!!」
「きゃぁぁっ!!!ケイティーとエイミーっ!」
「生臭い婚約の誓いのキッス、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 過去の心の傷をグリグリされながら脅されてしまったし、
「お母さんっ、あのねっ」
「あのねっ、お母さんっ」
「まあまあ、順也ちゃんも翼ちゃんも、もう大きいのにそんなに抱き付いたら、お母さん苦しいわ」
「ははは、順也、翼、何ならお父さんにも抱き付いていいですよ」
「智也兄さんにも、以下同文」
「智也兄さんにも、以下同文」
 まだ幼い双子にとっては、本当の家族と暮らす方が幸せだと考えて、しばしの別れを決心したのだった。
 しかし、実際に両親と再会した双子に、3年後に迎えに来る事を涙ながらに伝えると、
「あううううっっっ、3年後に必ず迎えに来るから、それまで元気でいてね、毎日手紙を書くからね、順也っ」
「うううううっっっ、翼も元気でいてねっ、私も毎日手紙を書くからねっ、う・・ううっ、浮気はしないでねぇぇぇっ」
「んん?どうしてお迎えなんだ?お父さんとお母さんと兄さん達にもにも会えたし、俺達も一緒に帰るぞ」
「うんっ、お父さんとお母さんと兄さん達にもにも会えたし、僕達も一緒に帰るよね」
 しかし双子はあっさりと両親と別れて、魔王達と一緒に魔界に帰ると言い出した。
「え?でもせっかくあんなに会いたがっていた家族と会えたのに・・・」
「もうお別れしちゃっていいの?そう何度も簡単には来れないよ?」
「んんんんんんっ、お母さん達と離れるのは寂しいけれど、ユウキと離れるのはもっと嫌だぞっ!どうして置いていくなんて言うんだっ?!ふえ・・ええっ・えぇぇぇぇぇんっ!!!」
「そうだよっ、僕もケントと離れるのは嫌だよっ、それともケントは僕と3年も離れて平気なのっ?!!!ふえ・・ええっ・えぇぇぇぇぇんっ!!!」
 そして、更に地上に残ることを勧めると、もの凄い勢いでプンプンと怒り出し、それからワンワンと泣き出したのだった。


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2009.11.01(11:07)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 小声で交わされた不穏な相談は・・・
――――ドコーーーーーーーーーーーンッッッッ!!!!!!
「ガフーーーーーーーッッッッッッ!!!!」
――――ドコーーーーーーーーーーーンッッッッ!!!!!!
「グハーーーーーーーッッッッッッ!!!!」
「んん?ユウキィ、今何かこれまで聞いた事の無い、ちょっと不思議、だけれど魂を揺さぶる音がしたぞっ」
「ケントォ、今何か魔界ナメクジが潰れた時に発せられる、幻の断末魔の声がしなかった?」
「オホホホホホ、気のせいですわ、順也ちゃん、翼ちゃん、こちらの事は気にせずに、どうぞ麗しい家族の再会の続きに集中してくださいな」
 しかしそれが地獄耳に入った桜子の、目にも止まらぬボディブローで粉砕された。
「ゲホッゲホーーーーーーーーーーーーいっ、息が・・!!」
「エフッエフーーーーーーーーーーーーでっ、出来ない・・!!」
 身をえぐられる様なボディブローを喰らい、
「んん?そうか?じゃあユウキ、もうちょっと待っててくれよな、あのな、お母さんっ」
「そうなの?じゃあケントも、もうちょっと待っててね、あのね、お母さんっ」
「まあまあ、順也ちゃんも翼ちゃんも、もう大きいのにとっても甘えん坊さんなのね」
「ははは、后よ、いいじゃないですか、13年目にして始めてなんですから、いくらでも甘えさせてあげなさい、ところで、良ければお父さんにも甘えていいですよ」
「勿論、智也兄さんにも甘えていいんだぞっ」
「遠慮はいらないから、翔也兄さんにも甘えろっ」
 しかも双子からもそっけない扱いを受けて、
『ウワァァァァァーーーーンッ、もう皆のっっ』
『バカバカバカァァァァーーーーーッ!!!!』
 魔王達はとか叫びながら、もう魔界にバサバサ飛んで帰りたくなってしまう。
 しかし順也と翼を置いて、まさかそんな事が出来る筈もなく、
「ううう・・うう・・順也ぁ・・・」
「あうう・・えう・・翼ぁ・・・」
 お腹を襲うこれまで味わった事の無い激痛に耐えながら、部屋の隅で団子ムシの様に丸まるしかないのであった。

 今朝の出来事・・・
「ユウキィ、おはようのキスゥ」
「ケントも、おはようのキスゥ」
「「ガッテン承知っっ!!」」
「それからユウキィ、おはようのエッチィィ」
「ケントもおはようのエッチィィ」
「「ガッテン承知っっ!!」」
「ガッテン承知っっ!!じゃありませんわっっ!!!心配だから見に来てみれば、何を朝から鼻の下を伸ばしていますのっ?いいからさっさと双子を着替えさせなさいっ!準備が出来たらっ、お城に出発しますわよーーーっっ!!!」
 桜子に良いところで邪魔されたけれど、つい今朝までは、確かに魔王達と双子は完璧にラブラブだった筈だった。
「お父さん、お母さん、智也兄さん、ショウユ兄さんっ」
「お父さん、お母さん、智也兄さん、ショウユ兄さんっ」
「だっ・かっ・らっ・翔也だぁっっ!!!」
ところが現在は双子は何時までも家族の方を向いたままで、
「ううう・・心が凍死しそう・・・ここで凍死豆知識、―40度の世界ではバナナでクギが打てるんです」
「あああ・・寂しくて死んじゃう・・・ここで寂しい豆知識、ウサギはね、寂し過ぎると死んじゃうんだよ」
「辛気臭い上にどうでもいいですわね、まあ落ちついてこちらでお茶でもどうぞ」
 魔王達は部屋の隅の応接セットで桜子にお茶でもてななされながらも、寂しさで心が凍えて、死んでしまいそうになる。

 しかし、双子と家族の感動の再会から小一時間後。
―――ジャーーーーッッ
―――ジャーーーーッッ
「ちょっと、ユウキ魔王、ケント魔王、お茶が口に入らないで、滝みたいにこぼれていますわよっ」
 寂しさが過ぎて魔王達が本物の魂の抜け殻になり果てる寸前に、
「ユウキィ、ちょっと来てくれよなっ」
「ケントォ、ちょっと来てぇ」
 終に魔王達に双子からのお呼びが掛かった。
 魔王達はそれまでブツブツと、もう世の中の総てに対してドス黒い恨み言を呟いていたが、双子の可愛い声で呼ばれた途端に、
「「はいはーーーいっ」」
―――バッサ、バッサ、バッサ
―――バッサ、バッサ、バッサ
「ちょっと、お部屋の中を飛ばないでくださるっ!?」
 パァァッと顔を輝かせて、桜子に注意されながらもウキウキ床から浮き、いそいそと双子に近づいて行った。
 そして名前を呼んで貰えただけでも気分はルンルンだったのに、
「お父さん、お母さん、紹介するぞっ、俺の未来の旦那様のユウキだぞっ」
「お父さん、お母さん、紹介するねっ、僕の未来の旦那様のケントだよっ」
 更に両親へ双子から『未来の旦那様』と紹介して貰えて、
「ははは、初めまして、お母さん、お父さん、ベルゼブブ・ユウキです、魔界で魔王をやっています」
「フッ、お初にお目に掛かります、お父さん、お母さん、ルシファー・ケントです、同じく魔界で魔王をやっています」
 さっきまでの干からびた団子ムシみたいな様子から一転、一気に爽やかな好青年へと態度が変わったのだった。


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2009.10.28(22:57)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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