西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
 どうしてミツバと翔也が、突然魔界へ続く湖のある森に現れたのか?
 それは、普段はクールで華やかでちょっと威張りん坊な王子様の翔也から、
「なあミツバぁ、俺、やっぱり順也と翼を最後まで見送りに行きたい」
 不意に滅茶苦茶甘えた声の、ツンデレ全開でそうお願いされてしまったからだった。
 翔也お気に入りの、アルディア城で一番高い塔の屋上。
 順也と翼が去ってしまって意気消沈している翔也に、
「桜子の奴、魔法の絨毯が5人乗りだか何だか知らないけれど、あと俺1人位乗せてくれてもいいじゃねぇか、ミツバもそう思うだろう?」
 ちょっと涙ぐんだ悔しそうな目でジッと見上げられてしまい、
「ああ、ツンデレ、最高っ」
「は?何か言ったか??」
「い、いえっ、何もっ、はい、そう思います、翔也様、順也様と翼様はあの通り、お小さくて体重も軽いですから、余った場所に翔也様が乗るのは十分に可能です」
「だよなっ?そう思うよなっ、やっぱりミツバは話が分かるぜっ、大好きだぜっ」
 次にパッと眩しい笑顔で笑い掛けられながら、胸にギュッと抱きつかれてしまい、
「うう、ツンデレ、最高っ」
「は?また何か言ったか??」
「い、いいえっ、何にもっ」
「空耳かな??まあいいや・・、でっ、俺は可愛い弟達を見送りたかっただけなのに、それを兄貴も桜子も往生際が悪いとか言いやがってよっ、ああもうっ、最高に腹が立つぅぅっ!!!」
 駄目押しで、可愛く地団駄を踏んだ翔也から、胸に顔をグリグリ押し付けられてしまい、
「もうっ、だからっ、ツンデレ、最高っっ」
「は?だからがどうした??」
「いっ、いいえっっ、まったくこちらの話です!!!で、ではっ、翔也様っ、そこまでお望みでしたら、私が翔也様を魔界の入り口へとお連れします、ですからもうご機嫌を直してください」
「え??それは嬉しいけど、でもミツバはもう人間だろう?そんな事が出来るのかよ??」
「はいっ、まさかの時用のヘソクリがありますので、お任せくださいっ」
 もう最高に幸せになったミツバは、緊急事態用に隠し持っていた虎の子の宝玉珠を使って俄か間族に戻り、翔也を魔界へ続く森へと運んできたのだった。

 ちなみに宝玉玉(ほうぎょくだま)とは、魔界でも本当にレアで珍しい、陰の気を含んだ群青の宝石だった。
 魔界でも珍しい宝玉玉は、地上では途方もない価値があり、
「これまでありがとう、ミツバ」
ユウキ魔王が執事を辞めて人間界に残る事になったミツバに、退職金として渡したものだった。
 地上でそれを売って、翔也との結婚の結納金にでもすればいいと思って、ユウキ魔王は渡したのだが、ミツバはそれを翔也のお願いの為にいともあっさりそれを使ってしまった。
 宝玉玉は魔王のユウキやケントでも滅多に持っていない希少な宝石だったので、ちょっと勿体無い気もするけれど、
「ここまで飛んでくる陰の気の為に、宝玉玉を使っちゃったんだ・・・」
「売れば堂々と翔也隊長をお嫁に迎えられる位の財産が出来たのに、本当にそれで良かったの?ミツバ?」
「はいっ、ユウキ魔王様、ケント魔王様、翔也様のお願いを叶える為でしたら、そしてツンデレの為でしたらっ、まったく、これっぽちも、後悔はしていませんっ」
 ミツバが気にしていないようなので、それはそれで良しとした。
 
 まあ、そんな訳でミツバがやって来てくれたので、
「順也、ここで翔也隊長とミツバと一緒に、良い子で待っていてね」
「翼も、ここで翔也隊長とミツバと一緒に、良い子で待っていてね」
「んんっ、わかったぞっ、ここで動物さんを助けながら、良い子で待ってるぞっ」
「うんっ、わかったよっ、ここで動物さんを助けながら、良い子で待ってるよっ」
「ユウキ魔王様、ケント魔王様、お二人と翔也様と森の動物の事はお任せください、必ずお守りいたします」
「「うん、たのんだよ、ミツバ」」
「おいっ!!!ユウキっ、ケントっ、俺の代わりにしっかり城下町と、それから親父とお袋と兄貴を守れよっ!!命令だからなっ!!!」
「「はいっ!!!翔也隊長っ」」
「では、行きますわよっ、ゲル・ゲロレレロゲにかなり遅れを取ってしまいましたわ、飛ばしますから、しっかり掴まっていてくださいなっ!!」
 ケント魔王とユウキ魔王は心置きなく、ゲル・ゲロレレロゲの討伐に向かう事が出来たのだった。



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2009.11.25(22:46)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
『シッギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!』
 ゲル・ゲロレレロゲが首を振り、そのトドにソックリの口から真っ赤な炎を噴く度に、炎に薙がれた白銀の森は、あっという間に真っ黒な消し炭になった。
 あちらこちらで火の手が上がり、不気味な深紅に染まった夜の森からは、突然の惨事に驚いた鳥達が鋭い鳴き声を上げながら飛び立ち、地上からも逃げ惑う狼やら鹿やらの脅えた様な鳴き声が聞こえて来る。
 さっきまでリンとした静寂に包まれていた冬の深い森は、あっという間に地獄の様な有様になってしまった。
一度アルディア国方面に移動し出したゲル・ゲロレレロゲは、のた打ち回って絶対に何も考えていなさそうなのに、何かに引かれている様にスピードを上げる。
「このままでは城下町が大変な事になりますわっ!!止めなければっ」
 桜子の操る5人乗り魔法の絨毯も、着いてスピードを上げようとするけれど、
「んんんっ!!!!あそこでウサギさん親子が、火に囲まれているぞっ、ユウキィ、助けてあげてくれよなっ!」
「えっ??はいはい、ちょっと待っててねっ」
「ああっ、ケントォ、あっちでは、はぐれた小鹿さんが困ってるよっ、助けてあげてっ」
「あっ、うん、わかったよっ」
「順也ちゃん、翼ちゃん、今は城下町を助けるのが先決ですわ、動物達には可愛そうですけれど、ここは放っておきましょう」
「んんんっ、でも、ここの森もアルディア国の領土だから、住んでいる動物さんが困ってるのを放ってはおけないぞっ、なあっ、つっ君っ」
「そうだよっ、僕たちは王子だからっ、国に住んでいる皆さんの為に働かなくちゃいけないって、お父さんが言ってたよっ」
「まあ、それはそうでしょうけれど、困ったわね」
 同乗している順也と翼が森で逃げ惑っている動物を見つけて、それを魔王二人が飛んで救出に向かうので、距離は離れてしまう一方だった。
「仕方ありませんわっ、魔王達っ、双子ちゃんと一緒に安全な場所に降ろしますからっ、ここで動物の救援活動を続けてくださいっ、今残っている陰の気でも、それくらいは出来ますでしょうっ?」
 仕方なく、桜子は魔王達と双子を、火の手の回っていない丘の上に降ろそうとするけれど、
「えっ?じゃあ、ゲル・ゲロレレロゲはどうするんですか?」
「まさかっ、桜子さんお1人で相手をするつもりですかっ?」
「当然ですわっ、このままではアルディア国は滅びてしまいますものっ、私1人で何とかしてみせますわっ」
「そんなっ、あいつは魔界の犯罪者ですっ、桜子さん1人に押し付ける訳にはいきませんっ!」
「そうですっ、今の私達では足手纏いにしかならないかもしれませんけれど、どうか連れて行ってくださいっ」
 魔王達も過去に自分達が取り逃がした魔物の事なので、桜子だけに任せきりにするのは、申し訳なくて納得が出来なかった。

 暗くて雪深くて、そこまで火災が迫っている夜の森の中に、可愛い双子を置き去りにする訳にはいかない。
 かと言って、桜子だけをゲル・ゲロレレロゲ討伐に向かわせる訳にもいかず、
「んんっ、俺とつっ君はここで動物さんを助けているから、ユウキは桜子姉さんと行ってくれよなっ」
「うんっ、僕と順君はここで動物さんを助けているから、ケントは桜子さんと行っていいよっ」
「「それだけは絶対に駄目っ!!!!」」
「だからっ、私だけが行けばすむことですわっ、と言うかっ、もう行かせてくださいなっ、ゲル・ゲロレレロゲが行ってしまいますわっ!!!」
「「それも絶対に駄目ですっ!!!!」」
 一向は取り合えず降りた森の中の小高い丘の上で、しばらくああでもないこうでもないと揉めていた。
 しかし、ゲル・ゲロレレロゲは遥か彼方に飛び去ってしまい、最早一刻の猶予もなくなって切れた桜子が、
「エネルギー切れの貴方達がいてもっ邪魔なだけですわっ、私1人で十分っ、もう行きますわよっ!!鬱陶しいから離れてくださらないっ?!」
「あああっ、桜子さんっ!!!」
「後生だから待ってくださいっ!!!」
 左右から腰にすがり付く魔王達を振り切って絨毯に乗り込もうとした時、
―――バササッ
「ユウキ様、ケント様、桜子さん、順也様、翼様、良かったっ、ご無事でしたのですねっ」
「順也っ、翼っ、怪我はねぇかっ?一体あの化け物は何なんだよっ?!いきなり前から飛んでくるからビックリしたぜっ!!」
 空から黒い翼を広げたミツバと、ミツバの腕に抱っこされた翔也が現れたのだった。



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2009.11.24(07:31)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 湖から飛び出して来た、超巨大な超巨大な熊みたいな、狼みたいな、ライオンみたいな、トドみたいな生き物は、『多分』魔界の第一級犯罪者ゲル・ゲロレレロゲだった。
 何故『多分』かというと、飛び出して来たゲル・ゲロレレロゲが、
「もの凄く大きくなっていますっ」
「もの凄く凶暴になっていますっ」
 ユウキ魔王とケント魔王が魔界で戦って追い払ったゲル・ゲロレレロゲと、かなり様子が違ってしまっていたからだ。
 かつてのゲル・ゲロレレロゲは、確かに熊みたいな、狼みたいな、ライオンみたいな、トドみたいな外見だったけれど、身長は魔王達と同じに180センチ程だったし、性格は残忍で狡猾だったけれど、嫌味な位の頭の良さと知性が感じられた。
 しかし、今のゲル・ゲロレレロゲは、体長50メートルはあり、気が狂った様に身体をくねらせて、しかも口から火まで吹いている。
「背中に、アルディア国から追い出された、神官長のザイリーリとその一派が埋まっていますわ、あの魔物を操ろうとして、失敗して取り込まれてしまったのかしら?そのショックで魔物も巨大化して暴走してしまったのね」
 魔界を支配したいゲル・ゲロレレロゲと、アルディア国を我が物にしたい神官長ザイリーリとその一派。
 取りあえず魔法の絨毯ではるか上空まで移動し、上から元ゲル・ゲロレレロゲを観察した桜子の予想だと、
「ザイリーリは欲深で、姑息で、見た目が不細工で、本当に嫌な奴でしたわっ、ゲル・ゲロレレロゲはどうでしたのかしら?」
「はい、ゲル・ゲロレレロゲは、狡猾で、残忍で、見た目が不細工で、本当に嫌な奴でした」
「おほほほほ、そんな二人が手を組もうとしても、上手くいくわけありませんわねっ、暴走して当然ですわっ」
 ゲル・ゲロレレロゲとザイリーリとその一派その二人が何らかの切欠で手を組もうとして、しかし何らかの切欠で失敗した結果で、今のゲル・ゲロレレロゲが誕生したのではないかということだった。

「順也、怖くない?」
「翼、必ず守るからねっ」
「んん〜、ユウキがいるから大丈夫だぞっ」
「うん、翼がいるから怖くないよっ」
 湖の上に浮かんで、のたうちながら火を噴いているゲル・ゲロレレロゲを、更にそのかなり上空に浮いている魔法の絨毯から見下ろしながら、魔王達は双子をギュッと抱きしめた。
 それぞれの婚約者の腕の中にスッポリと納まっている双子達は、特に怖がっている様子もなくて、
「んんんっ、もの凄く珍しい魔物さんが居るぞっ、つっ君」
「本当だっ、出来ることなら背中に乗ってみたいよねっ、順君っ」
 というかゲル・ゲロレレロゲに興味津々で、泣いたり脅えたりはしていない。
 ゲル・ゲロレレロゲも、自分の遥か上空に浮かんでいる魔法の絨毯には、まったく興味が無いようだった。
 それはいいのだが、困った事に、
「あああっ!!!ゲル・ゲロレレロゲが移動し始めましたよっ、桜子さん」
「しかもっ、あちらはアルディア国の方向ですっ、桜子さんっ」
「キャァァっ!!!!滅茶苦茶な動きなのにっ、何で選りにも選ってそちらに向けて飛び始めますのっ???このままではアルディア国が大変な事になってしまいますわっ!!」
 しばらく湖の上でのたうっていたゲル・ゲロレレロゲが、いつしかアルディア国へ向けて、移動を始めたのだった。



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2009.11.19(00:58)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 シンと静まり返った銀世界の森の中に現れた漆黒の湖面の湖。
 魔界へ続いているその湖の上には、まあるく明るい満月が静かに浮かんでいる。
 湖畔で焚き火&晩御飯のバーベキューをしながら、魔界への距離が縮まる深夜を待った魔王と双子達は、
「んん?じゃあ、何で急いで飛んだんだ?」凄く不思議だぞっ」
「うんっ、凄く不思議だねっ」
「おほほほほほほほ、良い花嫁さんは、細かいことを気にしては駄目ですわよ」
「んんっ、そうなのか?じゃあ、俺はユウキの良い花嫁だから、細かく気にしないぞっ」
「僕もっ、ケントの良い花嫁だから、細かく気にしないよっ」
「おほほほほほ、流石、二人とも素敵な花嫁さんですわ」
「あの、桜子さん、順也と翼に妙な嘘を教えないでください、それからもう少しで構わないんで、陰の気を分けて貰えませんか?」
「お願いします、桜子さん、でないとこのまま湖に飛び込んだら、魔界へ辿り着く前に、双子共々溺死してしまいます」
「あら、双子ちゃんの為なら仕方ありませんわね、もう少しだけですわよ」
 更にもう少し桜子から陰の気を貰って、いよいよ魔界へと帰ることになった。
 魔王達が陰の気の追加補充を頼むと、桜子はミツバから貰った(奪った)宝玉の埋め込まれている、妙に捩れた古木で作られた魔法の杖をブンブン振るって、
―――ゴンッ!!!!
「痛いですっ、桜子さん!!!」
―――ガンッ!!!!
「あうっ、何で叩くんですか?」
「おほほほほ、ごめんなさい、手が滑りましたわ」
 魔界まで辿り着く分の陰の気を分けてくれる。

 この一年間、ユウキ魔王とケント魔王が魔法使いの桜子に代わって、国境警備やその他雑用に精を出したおかげで、桜子は世界中を飛び回って、アルディア国の為に、優秀な人材を集める事が出来た。
 おかげで、まだ人手不足なのには変わりないけれど、それでも一時の様な王子が雪掻きまでするような、最悪の状況は脱出出来たのだった。
「ユウキ魔王、ケント魔王、この一年間、国の仕事を手伝ってくれて、本当にありがとうございました、2人が私に代わって働いてくれたおかげで、随分と新しい兵士や家臣を増やすこことが出来ました、国王ご一家も心から元気になられて、もうアルディア国は大丈夫ですわ」
 焚き火も消えた、深く積もった湖の湖畔で、最後の最後に桜子が深々と頭を下げながらそうお礼を言ってくれた。
「では、皆様、お元気で、順也ちゃん、翼ちゃん、結婚式で貰う宝玉が身体に馴染んだら、その時には地上へ遊びに来てね、国王様も、お后様も、お兄様達も、もちろん私も、ずっと楽しみに待っていますわ」
「んんっ、わかったぞっ、桜子姉さんっ」
「うんっ、わかったよっ、桜子姉さんっ」
「魔王達も、私はずっと見ていますわ、万が一双子ちゃんを不幸にする様なことがあったなら、その時は分かっていますわねっ???」
「はいっ、死にたくないから、分かっていますっ!!!!!」
「私もっ、死にたくないから、分かっていますっ!!!!!」
 そして、これが本当に最後の別れの挨拶を交わして、地上へ出てきた時と同じに、それぞれのマントの中に双子を包んで抱えた魔王達は、
―――バサッ・・・・
「では桜子さん、お元気で」
―――バササッ・・・・
「皆さんによろしくお伝えください」
 月明かりに輝く金と銀のか翼を大きく広げて、魔界へ続く冷たい湖へと飛び込んだのだった。



 が・・・・・、魔王達が湖の中に消えてわずか数十秒後、
「ふう、行ってしまいましたわね・・・・、やっぱり少し寂しいですけれど仕方ありませんわね、さあ、お城に帰りましょう」
 静まり返った湖畔で魔王と双子を見送っていた桜子が、湖にクルリと背中を向けた瞬間に、
――――ジャバーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!
「うっっわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!!!!!」
「なっ、何か凄いの出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!!!!!」
 あられもない悲鳴を上げた魔王達が、湖の中からもの凄い勢いで飛び出して来た。
「きゃあっ!!!!!!一体何の騒ぎですのっっ?????!!!」
 驚いた桜子が振り返ると、大きく波立った湖の中から今度は魔王達を追うようにして、
『シッギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!』
 全身が禍々しい真っ赤な色の鱗で覆われている、超巨大な熊みたいな、狼みたいな、ライオンみたいな、トドみたいな生き物が、口から火を吹きながら、スポーーーーーーーンッッと勢い良く飛び出してきたのだった。


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2009.11.17(22:23)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 魔法の絨毯はアルディア城のバルコニーから高く飛び上がると、数度大きくお城の上を旋回して、目指す魔界の入り口のある、深い森の奥の湖へと進路を向けた。
 城のバルコニーでは、国王夫妻と智也と翔也と、それにミツバが、頭上を見上げて、何時までも手を振っていた。
 翔也の後ろに寄り添う様に立ち、この頃ではすっかり国王一家に馴染んで、
「ミツバさん、明日の閣議のことなんだけれど、ちょっと相談があるんだけれど、いいかな?」
「はい、智也様、隣国との通商条約の資料の事でしょうか?」
「ああ、その資料なんだけれど、少し手直しを頼みたい・・・」
「ああっ、何だよっ、またミツバに何かさせんのかよっ、兄貴っ、ミツバは俺の家来だぜっ、勝手に用事をいいつけないでくれよなっ!」
「勝手?勝手とは何だっ、翔也っ、兄さんが頼んでいるのは国の仕事だぞっ、それにオマエの家来も何もあるかっ、我が国はまだまだ人材不足なんだからなっ、優秀な人物にはドンドン働いて貰わないと追いつかないんだっ、それとも代わりにオマエが明日までに資料を揃えてくれるのかっ?」
「ううっ、それは面倒くさいから嫌だけどよ・・、でもよっ、やっぱりミツバは俺のミツバだぜっ!!大体兄貴はっ、兄貴ってだけで何時も威張り過ぎなんだよっ」
「兄に向かって威張っていうとは何だっ、威張っているとはっ、そもそもオマエはっ」
「ああっ、翔也様っ、智也様もっ、どうかお揉めにならないでください、翔也様っ、私は翔也様の召使ですので、御用があるなら何でも一番に承りますっ、でも空いた時間では、どうか翔也様のご家族のお手伝いもさせてください」
 しかも頼りにされているミツバや、
「さようならっ、お父さんっ、お母さんっ、智也兄さんっ、ショウユ兄さんっ」
「さようならっ、お父さんっ、お母さんっ、智也兄さんっ、ショウユ兄さんっ」
「「わあっ!!!二人ともっ、そんなに乗り出したら落ちちゃうよっ!!」」
 やっぱり家族と離れるのは寂しそうで、絨毯から身を乗り出して、何時までも地上に向けて手を振っている双子を見ていると、
「順也と翼の為に、今まで通りに地上で生活したいね、ケント魔王」
「そうですね、私達も人の身になってもいいから、地上に残りたいですね、ユウキ魔王」
 魔王達はかなり本気で魔界に帰るのが嫌になってしまうのだった。

 双子に家族と離れ離れになる悲しい想いをさせない為に、人間になって、双子の婿として、双子の家族と共に暮らしたい。
 双子にはそれが一番の幸せだろう。
 しかしそうは思ってみても、彼等は魔王という仕事に誇りも責任も持っているので、1人の人間になって地上に残る決断は、やっぱりにわかには出来なかった。
「飛ばしますわよっ!!しっかり掴まっていて下さいなっ!!!」
「んんんっ!!!!凄く速いぞっ!!!」
「あはははっ、本当に速いねぇぇっ!!」
「ちょっ!!桜子さんっ、速いっ、速過ぎますっ、双子も乗っているんですからっ、もう少しスピードを落として下さいっ、ケント魔王っっ、隣に座ってるんだからっ、ちょっと注意してっ!!」
「ダメですっ、ユウキ魔王っ、桜子さん、目の色が変わってしまっていますっ、人の話なんか聞いちゃいませんっ!!!」
「ああああっ、いるよねっ、ハンドル握ると、性格の変わっちゃうはた迷惑な人っっ」
「はいっ、そういう人にはもう何を言っても無駄ですっ、せめて振り落とされない様にっ、双子だけは死守しましょうっ!!!」
「おほほほほほっ!!まだまだこんなものじゃありませんわよぉぉっ!」
「んん〜、何かそろそろ飛ばされそうだぞ」
「そうだねぇ、何かそろそろ飛ばされそうだねぇ」
「わあっ!!順也っ、あきらめないでぇぇっっ!!」
「翼もっ、あきらめちゃダメだよっっ!!!」
 
 そして、魔法の絨毯がアルディア城を出発して30分後。
「ふう、到着ですわ、さあ皆さん、お降りになって・・・って、皆さん妙にグッタリしていますわね、何かありましたの?」
 悩める魔王達が、自分と双子の将来についてゆうくりと考える間もなく、魔法の絨毯はあり得ない速さで、魔界の入り口のある深い森の中の湖へと辿り着いたのだった。


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2009.11.16(00:00)|魔王の宝玉コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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