西原&順也くんシリーズのブログです。 <登場人物> 西原 優希(さいばら ゆうき)日仏クォーター、才色兼備な中学2年の14歳。幼馴染の順也が大好き。 /鳳 順也(おおとり じゅんや)ちょっと小さいけれど、剣道チャンピオンのやっぱり14歳。綺麗で優しい西原が大好き。
 それから、20分後。
 月明かりが降り注ぐ浅い水路の張り巡らされたテラスには、何時しか肌に心地良い涼しい風が吹いていた。
 それが、ユラユラと周囲に置かれランプの明りをと周りの風景を静かに揺らす。
「寒くない?」
 リングを作らなければいけない二つ目の理由。
 カウチの上でそれを話し終えたユウキは、最後にそう聞きながら、自分の肩に巻いていた薄い絹のマントを俺の肩に掛けてくれた。
「これで二つ目の理由の話は終わりだよ、泣かないで聞けて偉かったね」
 そしてニコリと微笑みながらそう褒めてくれて、俺の頭を優しい手でヨシヨシと撫でくれるのだった。
 
 ユウキの話してくれた二つ目の理由。
 それは、ユウキが「王立商人」として次に出掛けなければならない、キャラバンの事だった。
 ユウキの仕事は王様の代理で他所の国の人と、色々な物を売ったり買ったりすることで、王様に命令されれば、どんな遠くの国へも行かなければいけない。
 俺とユウキが出会うきっかけになった砂漠のキャラバンも、王様の命令で、砂漠のずっと向こうにある紫莱峰という国から、珍しい宝石屋や織物な香辛料を運ぶ為のものだった。
『紫来訪が遠かったからね、次の御命令はきっと隣のレテ皇国辺りだと思うよ』
 つい先日まで、ユウキは次に旅立つ先の予想を、俺にそんなふうに話していた。
 まだ正式ではないけれど、王様にも食事会の席でそんな事を言われたらしい。
 レテの国までの街道は整備されていて、治安も気候もいいから、俺も少し後から着いて行って、向こうでユウキとあちこち観光する予定まで立てていた。
 でも、実際に命令されたのは、隣は隣でも遥か遠い北の国。
 この都からも見ることの出来るエメランド連峰と呼ばれる高い山を越えた向こうにある、ポーラリアという大国だった。

 ポーラリアまでは街道もそれないりに整備されているけれど、狼や熊や、それに凶悪な山賊が出る険しい山道を何日も掛けて越えていかなければならない。
 それに、途中に子供ばかりが掛かる熱病が流行る森があるので、未成年は絶対に連れて行って貰えないらしかった。
「寒くったって全然大丈夫だぞっ!変な風邪も引かないぞっ!だから俺も連れて行ってくてよなっ!」
 向こうでの仕事も考えるとユウキが3ヶ月は帰って来られない。
その事を聞いて、俺は話しの途中でそう訴えた。
 ユウキがこれまで行った国の中では遠くない方らしいけれど、でも大好きなユウキとそんなに離れて過ごすなんて考えられない。
「ポーラリアにはこの国よりも厳しい身分制度があって、例え向こう無事に着いて、奴隷の身分のジュンヤは入国させて貰えないんだよ」
 でも、悲しい顔をしたユウキにそう言われてしまい、正真正銘の奴隷でしかない俺はそれ以上何も言えなくなってしまった。
 しかも今回はかなり急で難しい王様からの命令らしく、出発も2週間後と決まったらしい。

 『泣かないでね』とユウキにお願いされて我慢していたけれど、『偉かったね』と褒められたらやっぱり悲しくなってしまった。
「ふぇっ!」
「とっっ思ったら、やっぱり泣くんだねっ!!」
「ふえぇぇ・・・ユウキが悪いんだぞっ!」
「えぇぇぇっっ何でっ?!うあぁぁっ、お願いだから泣かないでっ!!そうだっ!はいっジュンヤっ、まっしろだよっ」
「ににぁーー」
 でも目から涙がポロリと零れた瞬間に、まっしろを渡されてしまい、
「にゃぁ?」
「うぇぇ・・・可愛いぞっ」
 バスケットの中で寝ていたのをいきなり起こされて、不思議そうにこちらを見上げて来るまっしろが物凄く可愛くて、俺は結局泣けなくなってしまった。



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2008.05.15(20:40)|LOVE RINGコメント(1)トラックバック(0)TOP↑
午後6時。
夏の夕日が差し込む鳳家の台所。
――――グツグツグツグツ・・・・
弱火のコンロに掛けられた深鍋から、湯気とともに良い匂いが立ち昇る。
鍋の中身はビーフシチューで、西原が朝から時間を掛けて焦がさない様に煮込んだものだった。
本家での騒動から3日目。
最初の予想よりも長引いてしまったが、今日は順也が病院を退院して家へ帰って来る日だった。
なので、西原は朝から順也の好きなモノを色々と準備してその帰りを待っている。
30分前に病院を出ると智也から連絡があったので、もうすぐ到着する頃だろう。
ビーフシチューは3本指に入る順也の大好物で、今晩のメインディッシュだった。
そろそろ火を止めてもいいかなぁ?
肉は文句無く柔らかくなり、野菜もほぼ煮溶けてしまったので、まかり間違えて焦がして台無しにしてしまうよりはとそう思う。
なので、コンロの摘みを捻って止めようと手を伸ばしたところで、
「ただいま」
「ただいま帰りました」
「がぁーーー、疲れたぁ」
 玄関から帰宅を告げる声がして、西原は慌てて火を消し、エプロンも外さない格好のままで、台所から廊下へと出た。

「お帰りなさいっ」
 転がり出る様に出向いた玄関には史也と智也と翔也の姿があり、3人は靴を脱ぎゾロゾロと家へ上がって来た。
 しかし、そこには待ち侘びていた順也の姿は無かくて、西原は特に広くも無い玄関で、馬鹿みたいにキョロキョロとしてしまう。
「ただいまです、優希君」
「あっ、おじさん、お帰りなさい」
「留守番、ご苦労様な、優希」
「いえ、そんな」
「うっ!凄ぇいい匂いっ、何の匂いだ?腹減ったぁ」
「ビーフシチューですけど」
 3人は出迎えた西原に口々に声を掛けてくれる。
「あの・・・順也はもしかして帰って来ないんですか?」
 だけれど、いくら待っても順也の姿は見えないままで、まさかと思った西原がそう尋ねると、聞かれた3人は顔を見合わせて酷くバツの悪そうな顔をした。



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2008.05.14(23:39)|hanging gardensコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
「ユウキィ・・」
 ユウキが俺を誰にも譲ったりする気が無い事が分って、俺は安心してユウキの胸にギュッとしがみ付く。
「うん・・・やっぱりこんな話は、ジュンヤは恐いと思うよね、恐がらせてゴメンね」
 すると俺の気持ちをちゃんと分ってくれているユウキはそう謝って、俺の背中を撫でてくれた。
「んん・・・大丈夫だぞ」
 ユウキが俺の事を本当に大切にしていてくれる。
 そう思うと、恐いと思っていた気持ちも何処かへ消え無くなってしまう。
「説明の第二段階もあるのか?」
 でも、第一段階の説明を聞いても、まだどうしてリングを作らなくちゃいけないのかは分らない。
 なので、グリグリと良い匂いのするユウキの胸に顔を埋めながら尋ねると、
「あるけど・・・改めて考えると俺も凹む事だから、聞いて泣かないでね」
 ユウキは、そう答えてハゥッと憂鬱そうな溜息をついた。

「喉が渇いたから話の続きは少し待っててね、誰かいるか?」
 ユウキが呼ぶと、直ぐに召使さんの返事があって、やがてアレン・マリーさんが、杯を2つ載せた銀のお盆を運んできてくれた。
 そしてユウキに葡萄酒の注がれた杯を手渡しながら、
「酔った勢いでお話しですか、潔くありませんね」
 と言い、聞いたユウキが物凄く嫌な顔をさせる。
 それから、俺には氷を浮かべたオレンジジュースを渡してくれて、
「泣いて落とすと困りますから、ユウキ様のお話を聞く時は下に置いてくださいね」
と、何時ものちょっと恐い顔で注意してくれた。

 ユウキと俺が手にしているお揃いの杯は、深い緑色をしたガラス製で、ガラスは碧瑠璃と呼ばれる物凄く高価なものらしい。
 同じ重さのダイヤモンドより価値のあるそれは、月明かりの下で、注がれている液体が揺れる度に、それを透かして刻々と玉虫色にキラキラと色を変えた。
 しかもそれは『結誓の杯』という特別な杯で、ユウキの結婚する相手に対の一個を渡すのが本当の使い方だ。
 でもユウキは特別なそれを、「俺が愛を誓うのは生涯ジュンヤ1人だから、これはジュンヤが使ってね」と言って俺にくれて、俺はとても嬉しかったから、割ったりしない様にとても大切に使っていた。

「じゃあ、話の続きね・・・説明の第二段階は俺の仕事の事です、俺の仕事は何でしょう?」
 ユウキはアレン・マリーさんが杯と一緒に運んできた銀の壷から、ドンドン葡萄酒を注いで飲んで、やがてそれが無くなった頃に俺に向けてそう言った。
 ちょっとだけ舌が縺れている様なのは気のせいだろうか。
「王立商人っ」
 王様の代理になって、遠く離れた国と色々な物を売ったり買ったりするのが、ユウキの仕事だった。
 それ位の事はちゃんと知っているので、俺は直にそう答える。
 一体、次の話は何だろう?
 そして、俺のリングをどうしても作らなくちゃならない理由は一体何なのだろう?
 それを聞いた俺はもしかしたら泣いて、宝物の杯も落としてしまうかもしれなくて、ユウキも凹んでしまう凄い内容らしい。 
 ユウキが俺の事を大切にしてくれている事は知っているので、何を言われてももう恐くはない。
 だけれど、何を言われるか想像できなくて、やっぱりドキドキとしてしまう。
 なので念の為に、俺はアレン・マリーさんの注意の通りに、手に持ったままだった杯を、慌ててお盆の上に戻した。



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2008.05.13(22:12)|LOVE RINGコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
陽菜さん、拍手&コメントありがとうございました(^^)
コメント頂けるのは月1回以下の絡みにくいサイトですのでとても嬉しいです。
それから陽菜さんがまだ読んでくれて頂いた事も凄く嬉しいです。
長々とお付き合い頂いてありがとうございます。

え〜、順也君はこれからちょっとグレます(^^;
今回の最後でもグレていますけれど、軽く反抗期です
期間は1間程度でせうか?
短いとお思いでしょうが、これ以上長いと西原が普通に死んじゃいますので、それ位で終了予定です。
その後は二人のラブ・甘・いちゃ三拍子で、夏休み終了の予定です。
相変わらずユルいお話しですが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです(><)

他にも、拍手、ランキングにポチして頂いた方、ありがとうございます!
毎日の更新の回復薬グレートでございます。
いや・・・ないと、本気で止めちゃおうかなぁとか思ってしまうんで、本当に助かっています!
これからも更新頑張りますので、よろしくお願いします〜\(^▽^)/(愛想振り撒き中)
2008.05.13(07:54)|お礼コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 目が覚めたら、見た事の無い真っ白な部屋の中のベッドの上だった。
 新しい建物の匂いのする広い部屋。
 寝ているふかふかの枕も、寝心地の良いベッドにも、被さっている軽く暖かい羽根布団にも、新品で肌触りの良いカバーが掛かっている。
 随分眠った気がするけれど今は何時頃なのだろうか?
 まだ重い瞼を数回瞬かせて首を巡らせると、壁に掛かっている丸い時計が12時を指そうとしているところだった。
 カーテンの開いている大きな窓からは緑の茂る木とその向こうに白く光る空が見えて、木の葉っぱは何だか濡れている気がした。
 それを見て、今は昼の12時で、外には雨が降っている事が判る。
 雨のせいなのか、本当に回りが静かなのか、部屋は妙にシン・・・としていた。

 何で自分はここにいるのだろう?
 何だか頭がボンヤリとして記憶がはっきりとしない。
 酷く身体もだるいので、首をゆるく振って部屋の中を見回す。
 広く白い空間には誰もいないけれど、立派な応接セットがあって、そこの椅子の上には何時もお母さんが持っているハンドバックや、パンパンに膨らんだ旅行カバンや紙袋が置かれていた。
 それからテーブルの上には、花瓶に生ける前の花束と、家の一番大きなおタッパーに入ったお握りと卵焼きと鶏の唐揚げと、それから水筒が入って置いてある。
―――キューーーーーッ
 気付けば部屋の中にはお弁当の良い匂いが漂っていて、それを嗅いだ途端に俺のお腹が大きな音を立てた。
 今始めて気付いたけれど、俺は物凄くお腹が空いていた。
 それに、喉もカラカラに渇いていたし、部屋の中が妙にシンとしているのも寂しくって嫌だった。

 カッコイイ液晶テレビが壁際の台の上に置いてあって、それのリモコンもお弁当のあるテーブルの上にあった。
 お腹が空いて喉が渇いたのでお弁当と水筒が欲しくて、部屋が静かなのが嫌なのでテレビを点けたい。
 だから、テーブルまで行ってその総てを解決したいと思い、ベッドから起きようとしたけれど、ダルイ上半身を起こした途端に頭がクラリとした。
 でも頑張って腕を支えに起きて、次はベッドから下りようと足を動かそうとすると、腕から力が抜けてグラリと身体が傾いてしまう。
――――ガタッ!!ガッターーーーン!!!
 あっ!と思った時には遅くて、言う事の効かない身体はベッドがらズルリと落ちてしまった。
 ズリズリ落ちたので痛くは無かったけれど、ベッドの脇に置いてあった椅子を引っ掛けて倒してしまい、耳を塞ぎたいような音がする。 
―――ガラッ!!!
「順也っ!!!何があったの?大丈夫!?」
 その途端にピッタリと閉まっていた、重そうな横開きのドアが勢い良く開いて、そこには驚いた顔の西原が立っていた。

 ドアの前に立つ西原は、髪を一つに束ね、何時も通りに白いTシャツとジーンズ姿で、ぜんぜん飾り気が無くて、でも何時も通りに見惚れる様に綺麗だった。
「良かった目が覚めたんだねっっ、ベッドから落ちたのっ!?大丈夫?」
 床の上に落ちている俺を見て、西原は酷く慌てた様子で大股で近づいてくる。
「怪我は無い?起きて一人だから驚いたんだよね、ゴメンネ一人ぼっちにして」
 そして、優しい声でそう言いながら床に跪いて、腕を伸ばし俺を床から抱き上げてくれようとしてくれた。
――――ザワリ・・・・
 でも、半そでのTシャツから伸びた西原の腕が俺に触れようとした瞬間に、頭の中で何かが弾けて、胸の奥が大きくザワめいた。
 その始めて味わうぐにゃりとした嫌な感情に寒気を覚えた俺は、
「俺に触んなっ!!」
 思わずそう叫び、西原の腕を振り払っていた。



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2008.05.13(07:21)|hanging gardensコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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